ガールズバーやコンカフェを営業していると、摘発のリスクを感じることがあるのではないでしょうか。
先日も東京都内の大手といわれるガールズバーが摘発されています。
年末の繁忙期を控え、警察が調査する機会もますます増えてくると思います。
特にガールズバーやコンカフェは風俗営業との境界が非常にあいまいです。
これくらいは大丈夫だろうと思っていても実は違法だったということはよくあることです。
違法として摘発されてしまうと営業的に大きなダメージとなります。
そのため、絶対に摘発されないように事例と対策を考えてみます。

ガールズバーやコンカフェの位置づけ

ガールズバーやコンカフェは、深夜における酒類提供飲食店営業の届出(以下、深酒)で営業しているケースが大半を占めます。
深酒営業では24時間営業も可能ですが、キャバクラのような接待行為はできません。
もし警察から接待行為と判断されてしまうと後述する無許可営業となってしまいます。
深酒はあくまで深夜の時間帯にお酒をメインで提供する飲食店です。

もちろん、ガールズバーやコンカフェでも風俗営業許可を受けて接待行為をしているお店もあります。
ただし、その場合は午前0時までしか営業はできません。(営業延長許容地域は1時まで)

風営法の無許可営業

特に多い摘発の理由は風営法上の無許可営業です。(深酒として営業していることを前提とします)
接待行為を行うには風俗営業1号許可を受けなければなりません。
深酒として営業しているのに接待行為を行うと無許可営業として摘発されます。
無許可営業の罰則は2年以下の懲役又は200万以下の罰金若しくは併科です。
さらに5年間は風俗営業を行うことができなくなります。
そこで、無許可営業と判断されがちな事例と対策を解説します。

接待行為の有無

ガールズバーやコンカフェの多くは異性に対して接客するスタイルの飲食店です。
そのため、特定のお客さんに長時間接客してしまうことが多々あります。
このような行為は接待とみなされることがあります。
カウンター越しだからや隣に座らなければ大丈夫ということはありません。
接待行為か否かは、あくまで実態をみて判断されています。

具体的な接待行為

「接待行為」といっても風営法では曖昧な表記しかありません。
具体的な接待行為は、風営法解釈運用基準という警察内部の通達の中で例示があります。
〇・・・接待行為に該当
×・・・接待行為に該当しない

具体的な接待行為の例示(風営法解釈運用基準第4-3)
  • 談笑・お酌等
    特定少数の客の近くにはべり、継続して、談笑の相手となったり、酒等の飲食物を提供する行為。
    ×お酌をしたりお酒を作るが、すぐに立ち去る行為。
    ×カウンター内で単に酒類を提供するだけの行為。
    ×社交儀礼上の挨拶、若干の世間話。
  • ショー等
    特定少数の客に対して、専ら客の用に供している客室又は客室内の区画された場所において、ショー、歌舞音曲等を見せ、又は聴かせる行為。
    ×不特定多数の客に同時にショー、歌舞音曲等を見せ、又は聴かせる行為。(ホテルのディナーショー等)
  • 歌唱等
    特定少数の客の近くにはべり、その客に対し歌うことを推奨し、若しくはその客の歌に手拍子をとり、拍手をし、若しくは褒めはやす行為。
    ×不特定の客に対し歌うことを推奨し、若しくはその客の歌に手拍子をとり、拍手をし、若しくは褒めはやす行為。
    ×不特定の客からカラオケの準備の依頼や歌の伴奏のための演奏する行為。
  • ダンス
    特定の客の相手となって、その身体に接触しながら、当該客にダンスをさせる行為。客の身体に接触しない場合であっても、特定少数の客の近くに位置し、継続して、その客と踊る行為。
    ×ダンスの先生がダンスを教授する行為
  • 遊戯等
    特定少数の客と共に、遊戯、ゲーム、競技等を行う行為。
    ×客一人又は客同士で遊戯、ゲーム、競技等を行う行為。
  • その他
    客と身体を密着させたり、手を握る等客の身体に接触する行為。客の口許まで飲食物を差出し、客に飲食させる行為。
    ×単に飲食物の運搬、片付け、荷物、コートを預かる行為。

風俗営業1号許可を受ける

無許可営業とならないための一番確実な対策は風俗営業1号許可を受けることです。
堂々と接待行為を行うことができます。
ただし、風俗営業許可を受けることによってデメリットが生じることがあります。

風俗営業許可を受けることによるデメリット
深夜営業ができない
18歳未満の者を客とすること、雇うことはできない
風営法の規定に抵触して営業許可がでない
テナントの場合、所有者の承諾がとれないことがある

風俗営業許可を受ける場合は、立地制限など様々な規制の対象となります。
また、申請してから許可が出るまで2~3カ月ほどかかります。
お店を営業しながら許可申請を行う方法もありますが、本当に許可が必要なのかよく検討しましょう。

マッチングアプリなどの活用

最近はマッチングアプリなどを活用した摘発事例も多くあります。
あたかも第三者として偶然を装い、お店に誘導して接待行為を行う手口です。
この場合、お店と第三者との間に何らかの関係があればお店と一体とみなされます。
つまり、お店が接待行為を行ったと判断され無許可営業となります。

お店のシステム

指名制やキャストドリンクといったシステムがあると接待行為と判断される可能性が上がります。
なぜなら、飲食が目的ではなく、キャストと会うことが目的と見られてしまうからです。
また、高額なボトルなども同様です。
料金に関する規制はありませんが、あまりにも法外な値段だと通常の飲食目的とはみられません。
もとろん、上記のようなシステムが直ちに接待と判断されることはありません。
しかし、あくまで飲食店として許される範囲で営業していることが前提となります。

お店の構造

ガールズバーやコンカフェでボックス席を設置することも多くあります。
しかし、お店の構造や設備で接待行為を疑われることがあります。
ボックス席は、お客さんに密着して長時間の接客を行っているのでないかと思われるからです。
また、VIPルームや個室なども同様に疑いが持たれます。
深酒として営業するのであれば、なるべくこのような設備は設置しないことがベターです。

従業員の教育

お店で働く従業員の方が接待行為に関して理解していることも大事なポイントです。
接待と接客の区別がついていないと無意識に接待行為を行ってしまう可能性があるからです。
そのため、採用時などに業務内容を詳しく説明しておく必要があります。
従業員が逮捕されることはあまりありませんが、違法行為のリスクを説明しておきましょう。

従業員の衣装

あまりに露出の高い衣装だと飲食以外の目的が疑われます。
コンカフェなどで明確なコンセプトがあれば良いのですが、やりすぎは禁物です。
また、水着や制服などの衣装を着用して接客を行う場合は「特定衣類着用飲食店営業」の届出が必要となるケースもあります。

未成年

風俗営業許可を受けた場合は18歳未満の者を雇用することも客とすることもできません。
年齢確認は、写真付き身分証明書と住民票で確認しましょう。
仮に身分証明書などが偽造されたとしてもお店の責任となるケースが多くあります。
無許可営業で摘発された場合、未成年に関する規定が適用されるので注意が必要です。

SNSの活用

近年ではSNSを活用した広告宣伝は欠かせません。
しかし、万が一違法行為があったときの拡散のリスクも伴います。
警察もインターネット上でチェックしています。
SNSを活用する際は特にその点に留意して活用する必要があります。

客引き行為

摘発理由として違法な客引き行為も多くあります。
具体的には「客引きとは、相手方を特定して営業所の客となるように勧誘すること」とされます。
路上などの公共の場での客引き行為は禁止されています。

東京都では風営法だけでなく迷惑防止条例でも客引き行為等は禁止されています。
また、繁華街は、条例で重点地域に指定されている区域もあり、職員が客を装って捜査することもあります。

外国人の雇用

外国人の雇用にも注意が必要です。
永住者や日本人の配偶者といった就労制限のない在留資格を持っていない限り、風俗営業で働くことはできません。
ガールバーやコンカフェの多くは風俗営業ではなく深酒として営業しています。
その場合は、「資格外活動許可」を受けることによって法律上は働くことができます。
ただし、接待行為を行うなどして無許可営業となった場合は、不法就労助長罪に問われてしまいます。
そのため、外国人の雇用は確実に接待行為を行わないといった確信がない限り、やめておいたほうがよいでしょう。

最後に

ガールズバーやコンカフェは摘発と隣り合わせにあると思って営業することが大切です。
せっかく開業しても一つの違法行為で台無しになってしまうことがあります。
弊所では開業に関する許認可申請はもちろん、開業後のお困りごとの対応も行っております。
一人で悩む前に専門家に相談することによって解決するケースは多々あります。
安全にお店を営業したい方や行政処分でお悩みの場合はご相談ください。

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