風俗営業に近しい業態として、インターネット異性紹介事業というものがあります。
わかりやすく言うとマッチングアプリや出会い系サイトのことです。
風営法で規制されているように思えますが実は違います。
インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律(以下、出会い系サイト規制法)という法律で規制されています。
2015年頃からマッチングアプリのようなインターネット婚活サービスは急速に普及しています。
このようなサービスはインターネット異性紹介事業となる可能性があります。
しかし、事業を開始するためには、必要となる届出や守るべき義務が多くあります。

インターネット異性紹介事業とは

風営法が最初に制定されたのは昭和23年です。
これまでも大きな改正が行われてきましたが、新しいサービスが次々と誕生しています。
インターネット異性紹介事業も比較的新しい業態のサービスです。
そのため、風営法だけでは対応しきれないことも多くあります。

インターネット異性紹介事業の定義

マッチングアプリや婚活サイトのすべてがインターネット異性紹介事業となるのでしょうか。
出会い系サイト規制法では下記のように定義されています。

 インターネット異性紹介事業 異性交際(面識のない異性との交際をいう。以下同じ。)を希望する者(以下「異性交際希望者」という。)の求めに応じ、その異性交際に関する情報をインターネットを利用して公衆が閲覧することができる状態に置いてこれに伝達し、かつ、当該情報の伝達を受けた異性交際希望者が電子メールその他の電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。以下同じ。)を利用して当該情報に係る異性交際希望者と相互に連絡することができるようにする役務を提供する事業をいう。

インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する規制等に関する法律第2条2号

これを言い換えると次の1~4のすべてを満たす事業のことになります。

インターネット異性紹介事業となる4要件
  1. 面識のない異性との交際を希望する者の求めに応じて、その者の異性交際に関する情報をインターネット掲示板に掲載するサービスを提供していること
  2. 異性交際希望者の異性交際に関する情報を公衆が閲覧できるサービスであること
  3. インターネット掲示板に掲載された情報を閲覧した異性交際希望者が、その情報を掲載した異性交際希望者と電子メール等を利用して相互に連絡することができるサービスであること
  4. 有償、無償を問わず、上記1から3のサービスを反復継続して提供していること

面識のない

「面識のない」とは、サービスを利用するまでお互いまったく関係のなかった関係であることをいいます。
例えば同級生のみを募るようなサイトは該当しません。

異性の交際

ここでいう「異性の交際」とは、男女の性に着目して性的な感情に基づく交際とされています。
異性ならではの感情が重要であり、性交等だけでなく交流する行為全般が対象となります。
つまり、同じ趣味を持つ者をマッチングさせ、情報交換を行うなどは異性の交際には当たりません。

相互に連絡

相互に連絡とは異性交際希望者同士がメール、チャットなどで1対1で連絡できることをいいます。
このような相互に連絡できる機能を提供していればインターネット異性紹介事業に該当します。
ただし、チャットでも1対1ではなく公衆が閲覧できるものであれば該当しません。

インターネット異性紹介事業の該当性

異性の出会いを提供するすべてのサービスが届出の対象となるわけではありません。
下記のよくあるサービスにおいてもインターネット紹介事業に該当しないケースがあります。

婚活サイト

婚活サイトは結婚を希望する異性を紹介するサービスです。
もちろん「異性の交際」を希望する者の求めに応じてサービスを提供しているといえます。
ただし、顔見知りのみ紹介、公衆が閲覧できる掲示板がない、交際希望者同士がメールなどで直ちにやりとりできる機能がないといった場合は他の要件を満たしません。
婚活サイトだからといって必ず該当するわけではありません。

SNS

SNSは今や生活に欠かすことのできないツールです。
しかし、SNSを通じて知り合った児童が犯罪に巻き込まれる事件はよく聞きます。
原則としてSNSは、運営者が運営方針として「異性交際希望者」を対象としていない限りは届出の対象とはなりません。
ただし、実態とし異性交際目的での利用があるのに放置していると該当する可能性はあります。

インターネット異性紹介事業の届出

インターネット異性紹介事業に該当する場合は、必要な届出を行った上で様々な義務が生じます。

届出ができない人

出会い系サイト規制法には欠格事由が定められています。
欠格事由とは、届出を行うことができない人(法人)の要件です。

欠格事由 (出会い系サイト規制法第8条)
  1. 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  2. 禁錮以上の刑に処せられ、又は出会い系サイト規制法、児童福祉法(児童に淫行させる行為)若しくは児童買春・児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律に規定する罪を犯して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
  3. ここ5年間に出会い系サイト規制法第14条又は第15条第2項第2号の規定による命令(事業の停止等)に違反した者
  4. 暴力団員である者又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  5. 心身の故障によりインターネット異性紹介事業を適正に行うことができないもの
  6. 未成年者
  7. 法人で、その役員のうち上記1〜5、児童のいずれかに該当する方のあるもの

公安委員会への届出

インターネット異性紹介事業を始めるには、公安委員会への届出が必要です。
この届出は、事業を開始しようとする前日までに事務所の所在地を管轄する警察署を経由して行います。
ただし、届出は事業所単位となります。
1事業所で複数のサイトを運営していても届出書は1通にまとめて申請となります。

届出に必要な書類

公安委員会への届出に必要な書類は下記の通りです。

【個人・法人共通】
事業開始届出書
住民票の写し(本籍、外国人の場合は国籍記載)
身分証明書
送信元識別符号を付与する権限があることを疎明する資料※
※プロバイダ等から使用するサイトのURLの割り当てを受けた通知書の写しや、URLを使用する権限があることを疎明する資料のことです。

【個人の場合】
誓約書(欠格事由に該当しない旨)

【法人の場合】
定款の謄本
登記事項証明書
役員全員分の誓約書(欠格事由に該当しない旨)

【未成年の場合】
法定代理人の住所・氏名を記載した書面
相続証明書

事業者の責務

届出を行った事業者は一定の責務を負います。

18歳未満利用禁止の表示

運営するサイト上に「18歳未満利用禁止」の趣旨の文言を見やすいように表示しなければなりません。
必要な表示を行わなかった場合は行政処分の対象となります。

児童でないことの確認

利用者の年齢の確認は厳格に行う必要があります。
なぜなら、児童の保護を法律の目的と規定しているからです。

年齢確認の方法
  1. 運転免許証、国民健康保険被保険者証その他の年齢若しくは生年月日を証する書面の掲示、当該書面の写しの送付又は当該書面画像のメール等による送信を受ける
  2. 異性交際希望者からクレジットカードを使用する方法その他の児童が通常利用できない方法により料金を支払う旨の同意を受ける
  3. あらかじめ1,2に掲げるいずれかの方法により児童でないことを確認した異性交際希望者に識別符号(ID)を付し、インターネットを利用してその送信を受ける
  4. 識別付与義務を委託している場合、異性交際希望者から送信受けた識別符号(ID)について、委託業者に照会して確認する

上記の方法で年齢確認を行わなかった場合は、行政処分の対象となります。
ただし、例外として特定情報提供役務の提供を受けない異性交際希望者については自己申告で足ります。
特定情報とは異性が会うための連絡先、場所、時間のことです。
つまり、特定情報の提供を受けない利用者については自己申告で足りるということです。

名義貸しの禁止

自己の名義で他人にマッチングアプリなどの運営をさせてはなりません。
風営法でも厳しく規制されていますが、違反した場合は6月以下の懲役又は100万以下の罰金です。

禁止誘引行為の防止措置

禁止誘引行為が行われていることが判明した場合、速やかに防止措置をとる必要があります。
具体的には、書き込みの削除やアップロードの中止、サーバーデータの削除などです。
禁止誘引行為とは、児童売春を煽るような書き込みや行為のことをいいます。
事業者だけでなく、書き込みを行った者も処罰の対象となることに注意が必要です。

電気通信事業法

マッチングアプリのようなサイトを運営する場合、電気通信事業者の届出も必要となります。
大規模な通信設備があれば登録制となりますが、ほとんどの業者は届出となります。
この届出は、事業所を管轄する総合通信局を経由して総務大臣に対して行います。
届出に必要な書類(総務省HP)

最後に

以前は出会い系サイトやマッチングアプリというと犯罪の温床と見られがちでした。
しかし、昨今ではマッチングアプリをきっかけに結婚をしたという方も増えています。
特に若い世代はマッチングサイトなどに対する抵抗はあまりありません。
また、大企業が提供しているサイトも多くあります。
今後もマッチングアプリや出会い系サイトの需要は高まっていくものと思われます。
ただし、安全なサイトであることをアピールすることが重要です。
弊所ではそのための適正な手続きのサポートが可能ですのでお気軽にご相談ください。

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