世の中には様々なコンセプトの飲食店があります。
その中でもマッスルバーはここ2、3年でよく耳にするようになりました。
簡単に言えばマッチョな男性がおもてなしをしてくれる飲食店です。
ただ、一口にマッスルバーといっても色々な業態があるようです。
ジムが併設されていてトレーニングができるお店やメンズコンカフェ風など、お店ごとに特色があります。
ただし、SNSやネットの情報を見ると、法的にリスクがありそうなお店も散見されます。
安心してマッスルバーを開業するために気を付けるポイントを解説します。

マッスルバーで必要な許可や届出

マッスルバーを始めるには行政に対する許可や届出が必要となります。
もし、必要な許認可を受けていない場合は摘発の対象となることがあります。

飲食店営業許可

お店で調理した飲食を提供する場合は飲食店営業許可が必要です。
大半の場合、まずは飲食店営業許可を受けることがスタートラインとなります。

申請先はお店を管轄する保健所となります。
何事もなければ工事完了後、申請書類を提出して2週間程度が許可までの目安です。

深夜における酒類提供飲食店営業の届出

飲食店営業許可を受けた上で深夜にお酒を提供する場合に必要な届出です。
風営法では午前0時から6時までが深夜とされます。
ただし、深夜にお酒を提供すれば必ず必要となる届出ではありません。
ファミレスやラーメン屋など、主食を提供している飲食店は対象外です。

マッスルバーで主食を提供すると認められるケースはほぼありません。
つまり、マッスルバーとして深夜にお酒を提供するなら必須と思って間違いありません。

深夜酒類提供飲食店営業となった場合は、用途地域やお店の構造について風営法の規制が及びます。

営業できない地域があること、お店の構造について一定のルールがあることに注意が必要です。

風俗営業1号許可

風俗営業1号許可とは接待を伴う飲食店で必要となるものです。
キャバクラやホストクラブなどう営業する場合に必要となります。

第二条 この法律において「風俗営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。

 キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条1項1号

マッスルバーでは、マッチョなお兄さんと触れ合うことを売りにしているお店が多くあります。
こういった行為は「接待行為」に該当する可能性が高いといえます。

具体的には下記のような行為があると接待行為とされています。
(〇=接待行為、×=接待行為ではない)

具体的な接待行為の例示(風営法解釈運用基準第4-3)
  • 談笑・お酌等
    特定少数の客の近くにはべり、継続して、談笑の相手となったり、酒等の飲食物を提供する行為。
    ×お酌をしたりお酒を作るが、すぐに立ち去る行為。
    ×カウンター内で単に酒類を提供するだけの行為。
    ×社交儀礼上の挨拶、若干の世間話。
  • ショー等
    特定少数の客に対して、専ら客の用に供している客室又は客室内の区画された場所において、ショー、歌舞音曲等を見せ、又は聴かせる行為。
    ×不特定多数の客に同時にショー、歌舞音曲等を見せ、又は聴かせる行為。(ホテルのディナーショー等)
  • 歌唱等
    特定少数の客の近くにはべり、その客に対し歌うことを推奨し、若しくはその客の歌に手拍子をとり、拍手をし、若しくは褒めはやす行為。
    ×不特定の客に対し歌うことを推奨し、若しくはその客の歌に手拍子をとり、拍手をし、若しくは褒めはやす行為。
    ×不特定の客からカラオケの準備の依頼や歌の伴奏のための演奏する行為。
  • ダンス
    特定の客の相手となって、その身体に接触しながら、当該客にダンスをさせる行為。客の身体に接触しない場合であっても、特定少数の客の近くに位置し、継続して、その客と踊る行為。
    ×ダンスの先生がダンスを教授する行為
  • 遊戯等
    特定少数の客と共に、遊戯、ゲーム、競技等を行う行為。
    ×客一人又は客同士で遊戯、ゲーム、競技等を行う行為。
  • その他
    客と身体を密着させたり、手を握る等客の身体に接触する行為。客の口許まで飲食物を差出し、客に飲食させる行為。
    ×単に飲食物の運搬、片付け、荷物、コートを預かる行為。

特定のお客さんと密着して長時間接客したり、ショーを見せる営業はよくあります。
このようなサービスを提供するのであれば風俗営業許可を受けることを薦めます。
風俗営業許可を受けた場合は深夜に営業することが禁止されます。
つまり、深夜酒類提供飲食店営業と兼業することはできません。
また、立地制限や人的制限もあり許可を受けるためのハードルは高くなります。

性風俗関連特殊営業の届出

マッスルバーが性風俗に該当することは通常であれば考えられません。
しかし、いきすぎた接客行為を行うと下記の定義に該当する可能性がないわけではありません。

 この法律において「店舗型性風俗特殊営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
 個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条第6項2号

2号営業はファッションヘルスなどを想定しています。
「個室」とは、カーテンなどで仕切った部屋も該当する可能性があります。
例えば上半身裸の状態で異性の客に対してハグやキスなどの接触は「性的な感情に応じた」と解釈されかねません。
必要以上の露出や接触は大変リスクがあります。
万が一該当となった場合は、無届営業か禁止地域営業となる可能性が非常に高くなります。

最後に

上記の通りマッスルバーの開業には様々な許認可が絡みます。
営業方法やコンセプトによって、どの許認可が必要かを把握しておきましょう。
知らずのうちに違法行為となっていて摘発されることもあります。
特にマッスルバーに関しては、法律のあいまいな部分の接客が売りとなるケースが多くあります。
あらかじめ管轄の警察に確認するか風営法に精通している専門家に相談の上、開業の準備を進めることをお薦めいたします。

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