レストランや居酒屋など飲食を提供する営業を行うには、営業許可を取得しなければなりません。
キャバクラや雀荘などの風俗営業でも飲食を提供するのであれば飲食店営業許可が必要です。

許可の基準

飲食店営業許可を受けるには人的基準と施設基準に合致している必要があります。

人定欠格事由

許可申請者が下記の項目に該当する場合は、飲食店営業許可を受けることができません。

  1. 食品衛生法に基づく処分に違反して刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者
  2. 飲食店営業許可を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者
  3. 法人であつて、その業務を行う役員のうちに前二号のいずれかに該当する者があるもの

食品衛生責任者の設置

一店舗に一人の食品衛生責任者の設置が必要となります。
下記のいずれかに該当すれば食品衛生責任者となれます。
許可申請時に食品衛生責任者がいない場合は、誓約書を提出することにより可能となるケースが。
ただし、3か月以内に食品衛生責任者を設置する必要があります。

食品衛生責任者になれる者
  • 栄養士、調理師、製菓衛生士、食鳥処理衛生管理者、船舶料理士、と畜場法に規定する衛生管理責任者/作業衛生責任者の資格を有する者
  • 食品衛生管理者又は食品衛生監視員の資格を有する者
  • 食品衛生責任者の資格取得のための養成講習会修了者

東京都の養成講習会はこちら 一般社団法人東京都食品衛生協会
受講料は12,000円で6時間程度の講習になります。

飲食店営業許可の施設基準

施設基準は都道府県や保健所によって若干の違いがあります。
東京都ではおおむね、下記の点に気を付けていれば問題ありません。

飲食店営業に係る施設基準
  • 施設
    耐久性を有する構造で取扱量に応じた十分な広さが確保されていること
  • 営業所の区画
    作業場と客室が区画されていること(スイング扉、ドア等)
  • 壁、天井
    清掃がしやすく内壁は床面から1mまでは防火構造であること

  • コンクリートやタイルなど耐水性材料で勾配をつけること
  • 店内の明るさ
    作業場は50ルクス以上、客室は10ルクス以上の明るさが確保されること
  • 換気
    シャッター付きで食品等を汚染しない換気装置があるこ
  • シンク
    2層シンク又は食洗器付きでお湯が出ること
    目安として幅48㎝×奥行36㎝×深さ18㎝以上のサイズのシンクがあること
  • 食器棚
    扉のついた食器棚であること
  • 冷蔵、冷凍庫
    温度計が設置されていること
  • 更衣室
    作業場外に設置すること(更衣箱も可)
  • 害虫、ねずみ対策
    網戸や排水溝に金網などを設置すること
  • 手洗い設備
    調理場、トイレには最低限必要(客室に関しては要相談)
    従業者専用の固定式の消毒設備と手洗い設備があること(幅36㎝×奥行28㎝以上が目安)
    水栓がレバー式やセンサー式であること
  • トイレ
    作業に影響のない位置にトイレがあること
    固定式の消毒設備と手洗い設備があり、水栓がレバー式やセンサー式であること
  • ゴミ箱
    蓋つきのゴミ箱があること

シンクのサイズについて

東京都ではシンクのサイズに関しては具体的な数値は設定されていません。
ただし、あまりに小さいシンクの場合は交換を指導される可能性があります。
その場合、飲食をメインとしない営業であれば二槽シンクの片側を手洗いとして認められる余地があります。
(水栓に触れずに操作できなければいけません)

簡易な飲食店営業の緩和規定

簡易な飲食店営業に該当した場合、施設基準の一部が緩和されます。

緩和される基準
  • 床・内壁
    不浸透性材料以外の材料が使用できる
  • 排水設備
    床面になくてもOK
  • 冷蔵・冷凍設備
    施設外の設置でOK
  • 区画
    構造によっては区画しなくてもOK

簡易な飲食店営業

簡易な飲食店営業とは、飲食を主な目的としない下記のような施設です。

  • 既製品を開封、加湿、盛り付け等して提供する営業
  • 半製品を簡易な最終調理を行い提供する営業
  • 米飯を炊飯、冷凍パン生地を焼成する営業
  • 既製品、自家製ジュース、コーヒー等の飲料を提供する営業

具体的には、レトルト食品の提供や缶の飲料をそのまま提供するような営業です。
雀荘やガールズバーなどは該当することが多くあります。

飲食店営業許可申請の手続き

飲食店営業許可申請は、営業所の所在地を管轄する保健所に行います。
また、オンライン申請も始まっています。 食品衛生申請等システム(厚生労働省)
営業許可までは下記の流れとなります。

事前相談

許可申請の前に施設の図面などを持参して事前に保健所に相談に行きます。
工事着工前に施設基準に該当しているかのチェックをしてもらえます。

申請

飲食店営業許可申請は施設工事完成予定に10日前までには行いましょう。
申請時に実地検査に関して打ち合わせがあります。

飲食店営業許可申請に必要な書類
  • 営業許可申請書1部
  • 施設の構造および設備を示す図面:2部
  • 申請手数料 16,000円~18,300円
  • 食品衛生責任者の資格を証明するもの
  • 法人の場合は、法人の登記事項証明書(許可申請書に法人番号の記載があれば省略可)
  • 水質検査成績書(井戸水や貯水槽を使用する場合)

深夜に酒類提供を行う場合は別途、深夜酒類提供飲食店営業の届出を行う必要があります。

施設の実地検査

申請時に打ち合わせた日程で保険所の担当者が施設基準に合致しているかを検査します。
実地検査には営業者の立ち合いが必要です。
ここで不備があると再検査となってしまいますが、その場で改善できることもあります。

許可書の交付

実地検査に合格すれば許可書が交付されます。
検査から1週間程度が目安となります。
営業許可書の受領は実際に保健所に取りに行く必要があります。(郵送手続きも可)

飲食店のHACCPの義務化

令和3年6月1日よりHACCPに沿った衛生管理が制度化され、原則すべての食品等事業者が「HACCPに沿った衛生管理」に取り組む必要があります。
飲食店の場合はよほどの規模でない限り、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理を行うことになります。
手引きに沿って実施すれば難しいことはありません。
HACCPの考え方を取り入れた衛生管理の手引き

改正食品衛生法の営業許可と届出について

平成30年の食品衛生法の改正に伴い、営業許可業種が見直されました。
喫茶店が飲食店営業に統合されたりと従来の34業種から32業種に変更となっています。
元々許可業種となっていなかったものが許可・届出が必要となることがあります。
詳しくは弊所までご相談ください。