日本における風俗営業に対する取り締まりは、江戸時代から行われていたと言います。時を経て、戦後に「風俗営業取締法」が制定され、昭和59年の改正により現在の名称「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(以下「風営法」)に変更されました。名称が変わっても内容自体は75年前の「風俗営業取締法」がベースになっているため、文言が古くさいところも多々あり、今ではもはや絶滅していそうな業態の記載も残っています。例えば、対象の業態の中に「カフェー」が含まれています。なぜかというと、昔は喫茶店や料理店で売春の斡旋が行われており、犯罪の温床となっていたためです。(現在でも店名に“純喫茶”と付いた喫茶店を見かけますが、これは接客行為や酒類提供を行わない純粋な喫茶店です、という差別化の名残りです。)
風営法の目的
1984年の抜本改正後は第1条で法の目的が規定されました。
この法律は、善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため、風俗営業及び性風俗関連特殊営業等について、営業時間、営業区域等を制限し、及び年少者をこれらの営業所に立ち入らせること等を規制するとともに、風俗営業の健全化に資するため、その業務の適正化を促進する等の措置を講ずることを目的とする
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 第1条
クリーンな風俗営業を行い、地域の風俗環境を害することなく、青少年の健全な育成に悪影響を与えないことを目的とするとされました。
風営法の取締りの基準は、上記の目的を保護するためにという観点から判断されます。
最後に
近年の大きな改正としては、平成28年の改正で「ダンス」に関わる業態が風営法の規制から外れました。そして新たに「特定遊興飲食店営業」が加わりました。その他、規則や解釈基準の変更についてはもっと頻繁に行われています。世の中の流れに合せて、健全なものとして風営法から外れる業種がある一方で、新たに規制が入る業種があります。その基準は、『目的に沿った営業がなされ、犯罪の温床になっていないか』という観点から判断されているようです。ゲームセンターやパチンコ店も当初は、風俗営業として規制されていたものではありませんでした。犯罪が実際に起きたり、社会問題として顕在化してくると警察は規制を強化します。 風俗営業の監督官庁は警察庁です。「知らなかった」で通用する甘い世界ではありません。経営者の方はもちろん、管理者やキャストの方々も風営法を正しく理解され、健全に営業していくことが、ひいてはご自身を守ることになる、と認識していただくことを願います。