派遣型のメンズエステやデリヘルなどでレンタルルームを使用することは多くあります。
ラブホテルよりも料金が安く短時間利用ができるため、非常に使い勝手の良い施設です。
東京では、新橋や渋谷、五反田といった性風俗営業の盛んな地域で多く見られます。
しかし、使い方によってはデリヘルなどの営業者が風営法違反として罰せられてしまう可能性もあります。
レンタルルームの法的な位置づけと適切な届出の方法を解説します。

レンタルルームとは

世の中にレンタルルームと呼ばれる施設は多くありますが、デリヘルなどで使用するレンタルルームの多くは風営法の規制を受けることになります。

風営法上のレンタルルーム

デリヘル等で使用されるレンタルルームで下記の要件を満たすものは、性風俗関連特殊営業の店舗型性風俗4号営業となります。
つまり、ラブホテルと同様の扱いを受けます。

風俗営業と性風俗特殊営業

レンタルルームとなる要件

風営法における店舗型性風俗4号営業は、以下の要件をすべて満たす施設とされています。

  1. 専ら異性を同伴する客の宿泊(休憩を含む)の用に供する施設
  2. 政令3条1項で定める施設 (施設要件)
  3. 政令3条2項又は3項で定める構造又は設備を設ける施設 (構造要件、設備要件)

上記の要件はラブホテルも含めたものですが、レンタルルームの場合は構造要件がありません。
構造要件は主にモーテルを想定しているものだからです。
つまり、施設要件と設備要件を満たせば風営法上の「レンタルルーム」となります。

施設要件

レンタルルームの定義は、政令3条1項1号で規定されています。
ラブホテルとは違い、政令の中で「レンタルルーム」としっかりと明記されています。

 レンタルルームその他個室を設け、当該個室を専ら異性を同伴する客の休憩の用に供する施設

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令第3条1項1号

専らとは、7割ないし8割程度のことをいいます。つまり、専ら異性の特定目的のために使用される個室である必要があります。
また、客の休憩の用に供する施設なので宿泊をさせることは想定されていません。
旅館業の許可を受けて宿泊をさせる場合はラブホテルとして規制されます。
そのため、旅館業許可を受けていないレンタルルームは原則としては寝具の提供はできません。

設備要件

レンタルルームには構造要件はありません。
そのため、構造のいかんを問わずに1.の要件に加え、下記の設備が設置されていれば風営法規制対象のレンタルルームに当たります。

政令3条3項1号で定める設備
  • 回転ベッド、特定用途の1㎡以上の鏡、SM器具など
  • アダルトグッズの自動販売機
  • 長椅子など休憩ができる設備

レンタルルームに対する規制

上記の要件に該当するレンタルルームは風営法の規制対象となり、公安委員会(警察)に対して、店舗型性風俗特殊営業4号営業の届出が必要となります。
店舗型性風俗特殊営業は風俗営業とは違い、人的要件と営業所の構造的要件はありませんが、厳しい立地制限があります。
また、広告宣伝の規制、客引き行為等の禁止、18歳未満の者の入場の禁止など様々な規制を受けることになります。

禁止区域

立地制限として風営法28条で禁止区域が規定されています。
下記で指定されている区域ではレンタルルームは営業してはいけません。

店舗型性風俗特殊営業は、一団地の官公庁施設(官公庁施設の建設等に関する法律(昭和二十六年法律第百八十一号)第二条第四項に規定するものをいう。)、学校(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定するものをいう。)、図書館(図書館法(昭和二十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定するものをいう。)若しくは児童福祉施設(児童福祉法第七条第一項に規定するものをいう。)又はその他の施設でその周辺における善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為若しくは少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止する必要のあるものとして都道府県の条例で定めるものの敷地(これらの用に供するものと決定した土地を含む。)の周囲二百メートルの区域内においては、これを営んではならない。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第28条1項

また、条例で上記以外の施設を保全対象施設として指定することもできます。
例えば東京都では、条例で定めるその他の施設として、病院及び診療所が指定されています。

禁止地域

禁止地域に加え、都道府県の条例で地域を定めて禁止地域を指定することもできます。
例えば東京都では、レンタルルームの禁止地域として近隣商業地域及び商業地域(第一種文教地区および第二種文教地区に該当する部分を除く。)以外の地域が指定されています。

デリヘルとの連携

デリヘルなどを営んでいてレンタルルームを活用する場合は注意が必要です。
特定のレンタルルームのみを活用するといった連携が認められると、デリヘルとレンタルルームが一体の営業としてみられ、店舗型性風俗営業とされた事例があります。
そうなると、立地制限に抵触していた場合は禁止区域営業として2年以下の懲役又は200万以下の罰金に処されます。

公安委員会への届出

風営法上のレンタルルームとして営業するには公安委員会への届出が必要です。
届出は、営業を開始しようとする10日前までに営業所の所在地を管轄する警察署に行います。
また、飲食を提供する場合は保健所の飲食店営業許可も必要となります。

届出事項

公安委員会に対して、店舗型性風俗特殊営業営業開始届出書(別記様式第17号)で下記の5つの事項を届け出る必要があります。

公安委員会への届出事項
  • 氏名又は名称及び住所 法人の場合は代表者の氏名
  • 営業所の名称及び所在地
  • 店舗型性風俗特殊営業の種別
  • 営業所の構造及び設備の概要
  • 統括管理者の氏名及び住所

届出に必要な書類

さらに添付書類として下記の書類を用意する必要があります。

公安委員会へ提出する書類
  • 営業の方法を記載した書類(別記様式第20号)
  • 営業所の使用について権原を有することを疎明する書類(使用承諾書・賃貸契約書の写し・建物に係る登記事項証明書など)
  • 営業所の平面図及び営業所の周囲の略図(200m)
  • 住民票(本籍記載のもの。外国人にあっては国籍記載のもの)の写し
  • 法人の場合は、定款・法人登記事項証明書及び役員全員の住民票(5に同じ)
  • 業務の実施を統括管理する者に係る住民票(5に同じ)

最後に

レンタルルームはラブホテルと比較して旅館業許可が不要で設備も簡易的です。
しかし、店舗型性風俗特殊営業に該当する場合はラブホテルと同様の規制を受けます。
立地制限が厳しいので営業できる地域は非常に限られますが、営業可能な地域もあります。
適切にレンタルルームを営業したい場合は弊所までお気軽にご相談ください。
立地調査から申請書類の作成、アフターフォローまで一括でご対応可能です。

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