警察庁生活安全局保安課より「令和4年における風俗営業等の現状と風俗関係事犯の取締り状況等について」が公開されました。統計はこちらから
この統計は、風俗営業所の許可件数の推移と行政処分件数などを集計して、毎年4月に公開されます。
今後の風俗営業の動向や、摘発されやすい事例を確認することは、お店の営業においても参考となる部分が多くあると思います。
公開された警察庁のデータの引用がメインとなってしまいますが、風俗営業に関連した項目をピックアップしてみたいと思います。
風俗営業等の現状
風俗営業所(1~5号営業)全体の令和4年度末の許可数は78,934件で、前年比で1,631件(2.0%)の減少でした。
風俗営業所の許可数は年々減少傾向であり、令和4年もわずかに減少傾向は変わりません。
しかし、コンビニが全国で約57,000店あることを考えるとそれなりの許可件数だと思います。
接待飲食等営業
接待飲食等営業とは、キャバクラやホストクラブなどの接待を伴う社交飲食店が大半を占めますが、風俗営業1号~3号営業のことをいいます。
2号営業(低照度飲食店)と3号営業(区画席飲食店)は、合算しても全国で35件しかありません。
風俗営業は元々、開店数と閉店数の多い新陳代謝の高い業界ですが、令和4年度末の許可数は60,235件で、前年より599件(1%)減少しています。
減少傾向は継続していますが、コロナ禍も少し落ち着いてきたこともあり、社交飲食店は令和3年と比較すると減少幅は縮小しています。
遊技場営業(パチンコ店等)
遊技場営業(パチンコ店等)とは、雀荘やパチンコ店など風俗営業4号営業のことです。
令和4年度末の許可数は14,805件で、前年より1,044件(6.6%)減少しています。
パチンコ店の減少幅は年々拡大していますが、昨年11月のスマスロ、今年4月のスマパチの登場で業界は以前より盛り上がっています。最近では小型スマスロ専門店が新規開店したりと近年の店舗数の減少と反比例して大型店が増加する傾向が変わるのか注目したいと思います。
また、雀荘に関してもノーレート営業の場合は許可不要とするような活動も聞きます。
遊技場営業(ゲームセンター等)
こちらの遊技場は、ゲームセンターやアミューズメントカジノなどの風俗営業5号営業になります。
令和4年度末の許可数は3,894件で、前年より12件増加しています。
ゲームセンターは、スマホアプリや家庭用ゲームの進化などで減少していましたが、レトロゲーム特化店やクレーンゲーム専門店などで差別化を図った店舗をよく目にします。
また、アミューズメントカジノやゲーム機などを置いた営業も5号営業が必要なことから、今後は許可数も増えていくものと思います。
特定遊興飲食店営業
特定遊興飲食店営業は風俗営業ではありませんが、風営法に規定のある営業です。
主な業態としては、ナイトクラブや深夜に酒類を提供するライブハウスなどです。
令和4年度末の許可数は494件で、前年より35件(7.6%)増加しました。
風俗営業等の中で唯一、継続して増加傾向にある営業です。
ナイトクラブやショーパブなどはインバウンドの復活もあり、今後も需要が高まると思われます。
まだ許可数の絶対数も少なく、営業可能な地域は限られますが、東急歌舞伎町タワーに大型店が開店したりと、今後の伸びしろが期待できる営業です。
深夜酒類提供飲食店営業
深夜酒類提供飲食店営業も風俗営業ではありませんが、コンカフェやガールズバーといった風俗営業との線引きが微妙なお店もあります。
令和4年度末の届出数は260,730件で前年より419件(0.2%)減少しました。
最近ではガールズバーやメンズコンカフェなどが、風俗1号営業の許可を受けずに接待行為を行い無許可営業として摘発されるニュースが増えています。
接待行為を行うような営業をしているのなら、風俗営業1号許可の取得を検討する必要があります。
性風俗関連特殊営業の現状
性風俗関連特殊営業は、新規での届出やお店の改装を行うことが非常に困難です。
特に店舗型性風俗特殊営業に関しては立地規制が非常に厳しいため、今後増加する可能性は低いのですが、無店舗型性風俗特殊営業は継続して増加しています。
令和4年度末の届出数は32,926件で、前年より577件増加しています。
店舗型性風俗店は規制が厳しいので無店舗型性風俗店が増加傾向でしたが、最近では映像送信型性風俗特殊営業の増加傾向が顕著です。同人AV制作や配信サイトへの投稿などが増えており、無届による摘発も増えておりますので必要な届出を行いましょう。
風俗関係事犯の取締り状況
風俗営業関係の取締り状況を行政処分と検挙数に分けて統計が出ています。
風営法に基づく行政処分には指示処分、営業停止命令等、取消し命令等に分かれます。
また、刑事事件として検挙された事案も含めて統計が公開されています。
風営法に基づく行政処分の状況
処分件数はピーク時と比較して減少していますが、令和4年度末の行政処分の件数は3,820件で、前年より142件増加しています。
違反行為別にみると、「従業者名簿の備付義務違反」が3,820件中1,062件と30%近くを占めて、最も多くなっています。立入り検査があった際にまず確認されるのは従業者名簿ですので必ず整備しておく必要があります。
風営法違反による検挙数
令和4年度末の風営法違反のよる検挙件数は874件で、前年の936件より減少していますが、検挙人数は926人から959人と若干増加しています。
内訳として無許可営業、客引き行為、禁止区域等営業の3つで半数以上を占めています。
客引き行為は風営法22条で禁止行為として規定されており、指示処分の前置不要で6月以下の懲役若しくは100万以下の罰金、無許可営業と禁止地域等営業は風営法59条の規定により、2年以下の懲役若しくは200万以下の罰金又は併科という非常に重い刑罰を受けます。
売春防止法違反
令和4年度末の売春防止法違反の検挙件数は467件で、前年よりも41件増加しています。
また、出会い系サイトなどを利用したインターネット事案も196件ありました。
買収防止法と風営法は、風俗営業の性質から関連性が高いとされています。
風営法18条に規定される営業者の遵守行為の中で、売春を助長するおそれがあるということで拘束的行為を禁止しています。
拘束的行為とは、従業者に不当な債務を負担させて就労を強制したりすることですので買収行為を助長するとされています。
賭博事犯
令和4年度末のゲーム機などを使用した賭博事犯の検挙件数は、84件で継続して増加しています。
海外のサイトを利用したオンラインカジノや違法に改造したパチスロ遊技機を設置する、いわゆる「闇スロ店」の摘発などが増えています。
アミューズメントカジノなどを営業する場合は、賭博行為に当たらないように細心の注意が必要です。
トーナメントや競技会の開催などは、賭博に該当してしまうケースもありますので気を付けましょう。
最後に
今回の記事は、ほとんどが警察庁の統計を引用したものとなってしまいました。
業界の市場環境や摘発事例などが記載されていますので、全文も確認していただければと思います。
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