アダルト動画サイトへの投稿で数億円を稼ぐも逮捕される、という報道を最近耳にします。
このご時世、個人でも簡単に投稿でき、しかも高収入を得られる可能性があります。
しかし、関係する法律に気を使わないままでいると大変なリスクを伴います。
先日には国会で「AV出演被害防止・救済法案」が衆議院を通過しました。
AVの規制に対する世間の関心が高まるにつれて、今後もさらに強化されていく可能性があります。
どのような点に気を付けるべきか、確認してみましょう。

法的リスク

AVを制作することによってどんな罪に問われる可能性があるのでしょうか。
まず、AVを制作したからといって直ちに違法となることはありません。趣味の範囲で制作することは自由です。
出演者への強要や契約違反などは当然に違法となります、
また、制作したものを投稿・販売することに関しても摘発のリスクがあります。
上記の他にも関わりがありそうな法律は沢山あるのですが、ざっと、以下の事項に対してのケアは必要です。
・風営法
・児童ポルノ
・肖像権
・公然わいせつ
・有害業務への職業紹介

・AV新法

①風営法との関係

まずは弊所の専門でもある、風営法との関係からみていきましょう。
たまに「AVは風営法で規制されている」という発言を聞きますが、風営法では直接のAVに関する定義や規制はありません。
(解釈運用基準の中に「『性的好奇心をそそるもの』とはどういうものか」という説明はありますが、それ自体ではなく「『性的好奇心をそそるもの』を用いての営業」が規制対象です。)
とはいえ、AV=『性的好奇心をそそるもの』ということは間違いないでしょうから、風営法の規制は受けると思ってよいでしょう。
AVを制作したり販売・配信を行う場合は、以下の2つの営業が該当すると考えらえます。
そして該当となった場合は、公安委員会に届出をする必要があります。

無店舗型性風俗特殊営業2号

電話その他の国家公安委員会規則で定める方法による客の依頼を受けて、専ら、前項第五号の政令で定める物品を販売し、又は貸し付ける営業で、当該物品を配達し、又は配達させることにより営むもの

風営法第2条7項2号

電話やメールなどで注文を受け、AVやいわゆるエロ本、おもちゃなどのアダルトグッズを販売や貸し付ける場合に必要になる届出です。自作AVだとしてもDVDなどでパッケージにして販売すればアダルトグッズにあたるため、この「無店舗型性風俗特殊営業2号」の届出を行わないと無届営業として罰則の対象となります。

映像送信型性風俗特殊営業

この法律において「映像送信型性風俗特殊営業」とは、専ら、性的好奇心をそそるため性的な行為を表す場面又は衣服を脱いだ人の姿態の映像を見せる営業で、電気通信設備を用いてその客に当該営業を伝達すること(放送又は有線放送に該当するものを除く。)により営むものをいう。

風営法第2条8項

こちらはデータのダウンロードなどが対象なので、AVの配信はまさしく該当することになります。
また、ファンクラブを運営し、サブスクサービスを提供するサイトもあります。
こちらもアダルトコンテンツを扱っていれば該当する可能性があります。
法律は配信サイトの運営者が届出を行うことを想定しています。
再生数に応じた広告再生回数の収益であったり、FC2コンテンツマーケット(以下FC2)などに動画を委託販売をしている場合は届出は必要ないはずです。
実際、FC2に投稿して摘発された場合は風営法違反ではなく、後述する〔わいせつ物頒布等罪〕や〔公然わいせつ罪〕というケースが多くあります。
しかし、今後は解釈が変更される可能性もあります。
もし摘発された時の社会的なリスクをふまえ、弊所ではあらかじめ届出されることをおすすめしています。

②児童ポルノ

「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規則及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」という法律で、児童をAVに出演させ、製造、公開することなどは禁止されています。
その他、ほとんどの自治体の条例でも処罰の対象となっています。
児童ポルノにおける児童とは、18歳に満たない者をいいます。
出演者の年齢確認は必ず、念入りに行う必要があります。
FC2などでは公開後、怪しいと思われるものはすぐにインターネット上で通報できる仕組みも整えられています。

③肖像権

「肖像権」というもの自体は法律で明文化されていません。
しかし、憲法13条で認めらている国民の権利の一つと言われています。
他人から無断で写真や映像を撮られたり、無断で利用されたり公表されたりしないように主張できるという考え方です。
AV撮影においては、事前に撮影許可や顔出しの有無などを確認の上、契約を締結しておきましょう。
認識の食い違いや作品の削除などが起こらないよう、書面で定めておくと安心です。

④公然わいせつ

「公然わいせつ罪」とは刑法で規定されている犯罪です。
ネット配信の場合は「わいせつ電磁的記録送信頒布罪」という罪に問われることもあります。
「公然」とは、不特定多数の者が見れるということです。
街中で撮影したり、ネットで配信すれば「公然性がある」と思っていただいて間違いないでしょう。
「わいせつ」に関しては解釈はいろいろあります。
AV撮影においては無修正であれば「わいせつ」に該当するという認識でよいかと思います。
つまり公衆の面前で撮影したり、無修正の作品を配信すれば「公然わいせつ」に該当して摘発されてしまいます。
無修正やライブ配信は人気があります。
しかし、安易な気持ちで公開せずに、条件を慎重に確認しましよう。

⑤有害業務

「職業安定法」と「労働者派遣法」では公衆道徳上有害な業務に就かせるために紹介や勧誘をしてはならない、とあります。
AVの撮影は「公衆道徳上有害な業務」に該当するといった判例があります。
つまり、撮影目的で出演を求めたり斡旋をしたりすると、この規定に抵触する可能性があります。
実際は、出演を強要、過度な勧誘、反社会的勢力が絡んでいるなどといった特殊な事情がない限りは厳密に取り締まることはあまりありません。
しかし、強引なことは行わずあくまで常識的な業務説明に留めるといった配慮が必要です。

⑥AV新法

令和4年6月23日からAV新法が施行されます。(正式名称は「性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律」)内閣府からの説明はこちら
この法律により、主に下記の点について注意が必要です。

  • 作品ごとに契約書を作成して締結する
  • 説明書面を交付して説明する
  • 契約完了後1カ月の撮影禁止期間と4カ月の公表禁止期間
  • 無効条項や解除・取消条項などAV女優の不利益を排除

適正AV

「適正AV」という概念があります。
適正AVとは「女優の人権に配慮した過程を経て制作され、正規の審査を受けたAV作品」とされます。
AV制作会社やプロダクションなどが業界内でルールを作って運用されています。
つまり、市場に流通しているAVは上記の事項が守られていることがほとんどです。
しかし、同人AVなどの場合は、契約書や説明書面の交付などが疎かになることがあります。
同人AVであってもAV新法は適用されます。
つまり、今後はAV新法に関する規定を遵守しなければなりません。
特にAV出演契約書の締結と説明書面の交付は必須事項となります。
プラットフォームサイトでも書面を求められることや年齢確認の徹底が図られることがあります。
契約書と説明事項はAV新法に規定されています。
弊所ではAV新法に対応した契約書と説明書面の作成サポートが可能です。

まとめ

以上のように、AVの制作販売はさまざまなリスクをはらんでいます。
適法に事業を進めることが一番重要です。
決して安易な気持ちで参入せずに、適正な手続きを経ているかということを常に意識することが必要です。
必要な届出やリスク回避でお悩みの方は弊所までご相談ください。

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