空き家や空きスペースが増えていることから撮影スタジオとして有効活用する人が増えています。
一方で撮影スタジオの中には風営法の規制を受けるスタジオがあります。
AV撮影やグラビア撮影会などに使用されるスタジオで、「ヌードスタジオ」などと呼ばれます。
個人でアダルト映像を配信する人も増えており、ヌードスタジオは一定の需要があります。

しかし、ヌードスタジオを開業するためには気を付けるポイントがあります。
風営法に基づいて開業するために必要な手続きを解説します。

撮影スタジオとは

撮影スタジオは映画や写真集の制作などプロの制作会社が使用することが多くあります。
しかし、最近では個人での動画撮影やSNSへの投稿といった使用方法も増えています。
撮影需要が多様化している撮影スタジオは将来性があるといえます。
撮影スタジオは、物件を探して内装を整えて機材や備品を揃えれば開業は可能です。
もちろん、いうほど簡単ではありませんし建築基準法や消防法に適合させる必要があるケースもあります。
しかし、アダルトを扱うとなると風営法の規制という大きな壁が立ちはだかります。

風営法の規制

アダルト撮影を行う撮影スタジオは風営法の規定に抵触する可能性があります。
風営法と政令で下記の規定があります。

この法律において「店舗型性風俗特殊営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
 専ら、性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の姿態を見せる興行その他の善良の風俗又は少年の健全な育成に与える影響が著しい興行の用に供する興行場(興行場法(昭和二十三年法律第百三十七号)第一条第一項に規定するものをいう。)として政令で定めるものを経営する営業

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条6項3号

第二条 法第二条第六項第三号の政令で定める興行場は、次の各号に掲げる興行場(興行場法(昭和二十三年法律第百三十七号)第一条第一項に規定する興行場をいう。以下この条において同じ。)で、専らこれらの各号に規定する興行の用に供するものとする。

 ヌードスタジオその他個室を設け、当該個室において、当該個室に在室する客に、その性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の姿態又はその映像を見せる興行の用に供する興行場

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令第2条1項

アダルトの扱いが7~8割(専ら)の撮影スタジオは店舗型性風俗特殊営業の3号営業に該当します。

つまり、「ヌードスタジオ」として「ストリップ劇場」や「のぞき部屋」と同様の扱いを受けます。
実際に2013年には愛知県で無届のヌードスタジオが摘発されています。

専らとは?

専らとは、概ね7割ないし8割のことをいいます。(解釈運用基準第5-3(2))
つまり、アダルトの取扱いが7~8割を下回れば風営法の規制の対象外です。
しかし、専らの判断は営業の実態で判断されることに注意が必要です。
例えば撮影スタジオの半分をアダルト撮影スペースとしたので大丈夫というわけではありません。
判例では営業所全体の売上比率など総合的に判断されます。

水着撮影は対象外?

風営法の対象となるものは「衣服を脱いだ人の姿態」と規定されています。
具体的には、「全裸又は半裸等社会通念上公衆の面前で人が着用しているべき衣服を脱いだ人の姿態をいう」とされています。(解釈運用基準第5-3(4))
つまり、通常の水着撮影などは風営法の対象となる可能性は低いといえます。
ただし、半透明や透明の素材の水着などは、通常の水着とは認められません。
コスプレ撮影などで特殊な衣装を使用する場合は注意が必要です。

公然わいせつ罪

店舗型性風俗特殊営業にはお店の構造や内装の基準はありません。
しかし、営業所内でアダルト撮影を行う場合は注意が必要です。
公衆の面前で撮影が行われると公然わいせつ罪が適用されるおそれがあります。
他のスペースとの適切な区切り、目隠し、不特定多数が鑑賞できるような構造や運営は避けましょう。

風営法の届出

上記の要件に該当する撮影スタジオは風営法の規制対象となり、公安委員会(警察)に対して、店舗型性風俗特殊営業3号営業の届出が必要となります。
店舗型性風俗特殊営業は風俗営業許可とは違い、人的要件と営業所の構造的要件はありませんが、厳しい立地制限があります。
また、広告宣伝の規制、客引き行為等の禁止、18歳未満の者の入場の禁止といった規制を受けることになります。

ヌードスタジオが営業できる場所

店舗型性風俗特殊営業に該当すると風営法によって厳しい立地制限を受けます。
下記で指定されている区域では営業ができません。

店舗型性風俗特殊営業は、一団地の官公庁施設(官公庁施設の建設等に関する法律(昭和二十六年法律第百八十一号)第二条第四項に規定するものをいう。)、学校(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定するものをいう。)、図書館(図書館法(昭和二十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定するものをいう。)若しくは児童福祉施設(児童福祉法第七条第一項に規定するものをいう。)又はその他の施設でその周辺における善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為若しくは少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止する必要のあるものとして都道府県の条例で定めるものの敷地(これらの用に供するものと決定した土地を含む。)の周囲二百メートルの区域内においては、これを営んではならない。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第28条1項

また、条例で上記以外の施設を保全対象施設として指定することもできます。
例えば東京都では、条例で定めるその他の施設として、病院及び診療所が指定されています。
風俗営業許可の距離制限の基準は100mですので非常に厳しい規制です。

条例で禁止される地域

禁止区域に加え、都道府県の条例で地域を定めて禁止地域を指定することもできます。
例えば東京都では、条例でヌードスタジオ(3号営業)は商業地域以外では営業できません。
都道府県によっては全域で禁止といった条例もあるので注意が必要です。

公安委員会への届出

ヌードスタジオ(3号営業)として営業するには公安委員会への届出が必要です。
届出は、営業を開始しようとする10日前までに営業所の所在地を管轄する警察署に行います。
また、飲食を提供する場合は保健所の飲食店営業許可も必要となります。

届出事項

公安委員会に対して、店舗型性風俗特殊営業営業開始届出書(別記様式第17号)で下記の5つの事項を届け出る必要があります。

公安委員会への届出事項
  • 氏名又は名称及び住所 法人の場合は代表者の氏名
  • 営業所の名称及び所在地
  • 店舗型性風俗特殊営業の種別
  • 営業所の構造及び設備の概要
  • 統括管理者の氏名及び住所

届出に必要な書類

さらに添付書類として下記の書類を用意する必要があります。
特にテナントの場合はオーナー様からの使用承諾書が得られるかが重要です。

公安委員会へ提出する書類
  • 営業の方法を記載した書類(別記様式第20号)
  • 営業所の使用について権原を有することを疎明する書類(使用承諾書・賃貸契約書の写し・建物に係る登記事項証明書など)
  • 営業所の平面図及び営業所の周囲の略図(200m)
  • 住民票(本籍記載のもの。外国人にあっては国籍記載のもの)の写し
  • 法人の場合は、定款・法人登記事項証明書及び役員全員の住民票(5に同じ)
  • 業務の実施を統括管理する者に係る住民票(5に同じ)

最後に

以上のように撮影スタジオの営業方法によっては風営法の規制が及びます。
近年は自作AVの配信やグラビア撮影会などの需要は増大しています。
アダルト撮影ができる撮影スタジオに関しては正確な知識が必要です。
さらにアダルト映像の配信では映像送信型性風俗特殊営業にもかかわってきます。
ちょっとした勘違いで違法行為として摘発されるリスクが伴います。
風営法に基づくヌードスタジオを始めたい方は、トータルでご対応可能ですので是非弊所までご相談ください。

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