今年も残すところ、あとわずかになりました。
現在はコロナによる飲食店への制限もなく、対面での飲み会や食事会がまた増えてきていると思います。忘年会シーズンですからなおさらでしょう。
年末年始が繁忙期の飲食店は多いと思いますが、こんな時こそ立ち入り検査などで不測の事態が起こらないようにしておく必要があると思います。
具体的に何の取り締まりが多いのか。最新の風俗関係事犯の取り締まり状況を確認すると、過去5年間で『従業者名簿の備付義務違反』が毎年トップになっています。
『従業員名簿』とは? ここであらためて理解を深めておきましょう。

従業者名簿制度の趣旨

そもそもなぜ従業者名簿というものが必要なのか、ご存じでしょうか。
ただ風営法で決まっているからと作成しただけでは、後悔することになるかもしれません。
従業者名簿制度の目的は、「営業の実態を警察が把握することによって行政的監督効果を高める」、「営業者が誤って年少者を使用したりすることによる犯罪行為などを未然に防止する」ことです。
特に年少者に関しては風営法だけでなく、児童福祉法や労働基準法にもかかってくるので注意が必要です。
また、国籍や在留資格で規制がある営業では、従業者名簿で国籍を確認するという意味もあります。

従業者名簿備付義務のある営業

風営法36条では、従業者名簿を備える義務のある営業として下記のように規定されています。

  1. 風俗営業者
  2. 店舗型性風俗特殊営業を営む者
  3. 無店舗型性風俗特殊営業を営む者
  4. 店舗型電話異性紹介営業を営む者
  5. 無店舗型電話異性紹介営業を営む者
  6. 特定遊興飲食店営業者
  7. 深夜酒類提供飲食店営業を営む者
  8. 午前0時以降に飲食店営業を営む者

上記の営業を営む者は、営業所ごとに従業者名簿を備えておく必要があります。「営む者」とは届出の有無は関係ないので、無届で営業していても義務を負います。
いずれも年少者の従業が問題となる営業に義務が課されています。
なお、最近届出の多い「映像送信型性風俗特殊営業」が入っていないのは、年少者の従業を禁止する規定がないためです。

名簿に記載する従業者

実際に名簿に記載をしようと思ったとき、従業者の“範囲”が問題となります。
風営法36条では、『当該業務に係る業務に従事する者』が該当すると規定されています。
継続的効用契約に基づくいわゆる従業員はもちろんですが、解釈運用基準によると、雇用契約のある従業者に限らないとのことです。

当該業務に係る業務に従事する者

『当該業務に係る業務に従事する者』であればすべての従業者を従業者名簿に記載する必要があります。
雇用契約の有無、雇用契約の形式、期間の長短は問われません。
1日だけ働くアルバイトや不定期で働く親族、業務委託を受けて従事する者や第三者から派遣されたコンパニオンも含まれます。例えばパチンコ店のコーヒーレディもパチンコ店の従業員ではなく、雇用形態も様々だと思いますが、記載の対象です。
営業に係る業務というと接客や接待が典型ですが、管理者や調理担当者なども客に接する機会がないとはいえないため記載対象となります。
また、従業者名簿は営業所ごとにつくられる必要があるため、本社機能を持っていた場合でも本社で一括で名簿を作成することは認められていません。

備付の方法

実際の従業者名簿の備付ですが、紙媒体以外で電磁的方法による記録も認められます。つまりPCなどで管理しても問題はありませんが、必要に応じて直ちに表示することができる方法でなけれななりません。
また、従業者名簿の保存期間は3年です。従業者が退職した日から3年を経過する日までその者に係る従業者名簿を備えておく必要があります。

記載事項

記載事項は下記の内閣府令で定める事項を網羅しておく必要があります。

  • 業務に従事する者の住所及び指名
  • 性別
  • 生年月日
  • 採用年月日
  • 退職年月日
  • 従事する業務の内容

国籍は記載事項ではありませんが、下記の一定の営業者には、接客業務従事者について国籍確認の義務があります。

  • 接待飲食等営業を営む風俗営業者
  • 店舗型性風俗特殊営業を営む者
  • 無店舗型性風俗特殊営業を営む者
  • 特定遊興飲食店営業車
  • 深夜酒類提供飲食店営業を営む者

違反した場合

従業者名簿に不備があった場合の罰則ですが、風営法の規定では100万円以下の罰金と、かなり重いものになります。
行政処分としては、風俗営業、特定遊興飲食店営業及び飲食店営業は10日以上80日以下の営業停止処分を受ける可能性があります。
店舗型性風俗特殊営業、無店舗型性風俗特殊営業、店舗型電話異性紹介営業及び無店舗型電話異性紹介営業については20日以上、4月以下の営業停止処分を受ける可能性があります。

最後に

警察の立ち入りなどがあった際に一番多く摘発される違反が従業者名簿の不備です。
従業者名簿を適切に管理することで、年少者の問題、またその背後にあるかもしれない人身売買や、強制労働などの重大な犯罪を未然に防止できる効果もあります。
弊所でも必要事項を補完した従業者名簿のテンプレートをご用意しています。
従業者名簿に関してのご不安や疑問点がありましたら、お気軽にご相談ください。

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