ピンクサロン(以下ピンサロ)は昨年から摘発が続いており、この12月には渋谷にある人気店も摘発されました。経営者は風営法上の無許可営業で逮捕、女性従業員とお客さんも公然わいせつ罪で逮捕されました。
経営者は実質的に経営していたにもかかわらず他人に風俗営業許可を取得させていたため無許可営業となりました。許可申請者は名義貸しと思われます。
また、この女性従業員とお客さんも逮捕されている点にも注意が必要です。
ピンサロとはいったいどのような営業形態のお店で、また客までも逮捕されるケースはどんな時なのでしょうか?

ピンサロとは?

一般的にピンサロとは、薄暗い店内の仕切りの低いボックス席で飲食物を提供しつつ、女性従業員が性的なサービスも提供するお店です。
風営法では「個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業」として「店舗型性風俗特殊営業」のファッションヘルスが定義されています。
ピンサロの実態をみればファッションヘルスに近しい営業といえますが、多くのピンサロは「性風俗特殊営業」の届出は出していないはずです。
ピンサロの源流はピンクキャバクラといわれています。元が飲食店から始まっているので、許可上では飲食店営業許可と風俗営業1号許可を受けている営業しています。
また、深夜酒類提供飲食店営業の届出での営業等、性風俗特殊営業の非常に厳しい規制対象の外で営業しています。

ピンサロが摘発されるケース

上記のようにピンサロはあくまで飲食店だとして営業しています。個室やシャワーを設置していないから、飲食物を提供しているから、といったところで実態として性的なサービスを提供していれば違法性を帯びてきます。そうした場合に『禁止地域営業』と『公然わいせつ罪』に問われるケースが散見されます。
このうち『公然わいせつ罪』は従業員やお客さんも罪に問われる場合があります。

禁止地域営業

飲食店として許可を受けているお店が性的なサービスを提供してしまうと「店舗型性風俗店」に該当してしまいます。店舗型性風俗店は、風営法や条例で官公庁の建物や学校などの施設から200m以内の場所では営業が規制されます。実態としてはほとんどの地域が店舗型性風俗店の禁止地域となっているため、ピンサロが店舗型性風俗店に該当してしまった場合は『禁止地域営業』に問われてしまう可能性が極めて高いでしょう。構図としてはメンズエステが摘発される場合とほぼ同様です。
風営法で『禁止地域営業』は「2年以下の懲役もしくは200万以下の罰金または併科」と規定しており、また5年間は新たに風俗営業許可を受けることができません。

公然わいせつ罪

ピンサロは風俗営業1号許可を受けるか深夜酒類提供飲食店営業として営業しているため、風営法の規定によって個室を設けられません。また仕切りも低いため、店内は周囲が見通せる構造になっていることがほとんどです。
暗い照明や大音量のBGMでごまかしていることが多いですが、「不特定または多数人が視認しうる状態で陰部等の露出などのわいせつ行為」に該当した場合は『公然わいせつ罪』に問われてしまいます。
サービスを提供しているときに警察の立ち入りがあった場合は、従業員とお客さんも同様の罪に問われてしまうことがあり、実際に逮捕者も出ています。
刑法ではこの罪を犯した場合、「6か月以下の懲役もしくは30万以下の罰金または拘留もしくは科料に処する」と規定しています。

ピンサロが生き残るためには

年々、お店の数が減少しているピンサロですが、今後はどうすれば営業を継続できるでしょうか。

風俗営業1号許可

風俗営業1号許可を受けている場合は、接待行為が可能です。
接待行為はある程度の身体的接触が可能です。

いわゆる「セクキャバ」や「いちゃキャバ」というコンセプトであれば営業は可能です。
ただし、過度な露出や性的サービスを行ってしまえば無許可営業や公然わいせつといった罪に問われます。
警察も以前の営業状態を把握しているので厳しく取り締まる可能性があります。
お店のレイアウトや提供するサービスは慎重に検討する必要があります。

無店舗型性風俗特殊営業

店舗型性風俗営業の届出は現実的には非常に難しい状況です。
しかし、無店舗型性風俗特殊営業は立地制限も人的要件もありません。

無店舗型性風俗特殊営業の届出を行えば引き続き性的サービスを提供することができます。
また、既存のお店をキャストの待機場や事務所としても活用できます。

最後に

ピンサロは、法律的にみれば非常に危うい立ち位置で成り立っている営業といえます。
歴史的な経緯もあって警察からお目こぼしをされてきた部分もあると思いますが、今後摘発の対象となっても全くおかしくありません。
風俗営業は社会的に有益なものとして適正化を図るが、性風俗特殊営業は取り締まりの対象、というのが公安委員会のスタンスであることは間違いありません。
娯楽を提供するお店が、目先の利益を追うのではなく、適正に営業されることを願っています。

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