事業を始めたらまずはお客さんに認知してもらい、集客することが大事です。これはもちろん風俗営業においても同じです。
その手段としてすぐに思いつくのは広告宣伝ですが、風俗営業店が広告宣伝を行うのは意外と困難なケースが多いのです。
いったいなぜなのでしょうか?
最近では、パチンコ店のSNS広告にユーチューバーやライターを使用した場合、風営法の広告規制に抵触する可能性があることを警告するような通達を出した業界団体もありました。
風俗営業店はどのような広告宣伝ができるのか、風営法や関係法令を確認しながら検証してみましょう。

風営法による規制

風営法では、宣伝の方法構造設備の維持義務の観点から、広告宣伝を規制しています。

(構造及び設備の維持)
風俗営業者は、営業所の構造及び設備を、第四条第二項第一号の技術上の基準に適合する適合するように維持しなければならない。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 第12条

善良な風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと。

国家公安委員会規則 構造及び設備の技術上の基準

(広告及び宣伝の規制)
風俗営業者は、その営業につき、営業所周辺における清浄な風俗環境を害するおそれのある方法で広告又は宣伝をしてはならない。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 第16条

「営業所周辺」とは、営業所からおおむね100~200m程度と解釈されていますが、「清浄な風俗環境を害するおそれのある」「善良な風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある」というのは非常に抽象的です。
警察庁の解釈運用基準の『広告宣伝の規制』という項目で確認すると、“視覚や聴覚に訴えるもので、卑猥な内容のものや射幸心をそそるおそれのあるものを規制の対象にする”としています。
具体的には、ヌード写真や性交を示唆するビラやプラカード、パチンコ店では釘調整や設定による出玉をアピールすることが該当します。
つまり、お店の近くで上記に該当する表現を用いたビラを配ったり、お店の看板や装飾に使ったりすると風営法12条及び16条違反に該当してしまいます。
規制の対象が「営業所周辺」である以上、インターネットや電話、郵便などを用いての広告は通常、規制の対象外となります。

パチンコ店に対する広告規制

上記に加えて、パチンコ店にはさらに厳しい規制があります。
パチンコ店は遊技場のため、射幸心を煽るおそれのある広告宣伝は規制されています。
それでも隠語を使用してわかりにくくしたうえで過剰な表現で広告を出すホールがたくさんあったため、警察庁が2度にわたって通達を出し、さらに規制が厳しくなったという経緯があります。
規制の具体的内容は都道府県の条例に委任されているため、多少の差異はあるのですが「数字の7を使用してはいけない」などといった、そこまでする必要があるのか?と思ってしまうような規制も多々あります。
記事冒頭で触れたSNSを使用した広告に関しても、ホールの関与が認めれれれば、さらなる規制が入る可能性があります。
また、冒頭で触れた、いわゆる「晒し屋」を使った広告宣伝もやり方によっては違法となるケースがあったり、反社会的勢力との繋がりが疑われることもあります。

【令和5年2月1日追記】
約10年ぶりに警察庁からパチンコ店の広告に関する通達が発出されました。通達はこちら
事実上の緩和と都道府県ごとの格差を解消するような内容になっています。

リスティング広告

その他、有効な集客方法としてWeb広告があります。
しかし、風俗営業に関する広告はGoogleやYahoo!など大手の検索エンジンで効果的に広告を表示させることはできません。
広告規約で成人向けサイトでのみ広告ができるなどといった、大きい制約がかかっているからです。
そのため、他業界のように幅広く広告表示させることができないのです。

最後に

以上のように、風俗営業の広告宣伝を行う際は各種法令に気を配る必要があります。
知らず知らずのうちに法令違反を犯していたというケースは往々にしてあります。
商売において集客は非常に大切な要素です。
法令を遵守して適切な広告宣伝を行うことができれば、他店に対しても大きなアドバンテージを得ることができます。

今回の内容や広告宣伝について、何かお困りのことがありましたらお気軽にご相談ください。

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