風営法に基づく許認可や届出において、「使用承諾書」の提出を求められるケースは多くあります。
図面作成や周辺調査も気を使いますが、また違う意味でプレッシャーのかかる書類です。
書類自体はそこまで難しい書式ではないのですが、記載事項には非常に気を使います。
そこで使用承諾書作成において確認すべきことや気を付けるポイントを解説します。

使用承諾書とは

風営法において使用承諾書という文言はでてきません。
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく添付書類等に関する内閣府令」(以下、府令)という法律で「営業所(事務所、待機所含む)の使用について権限を有することを疎明する書類」が必要と規定されているだけです。
この規定を法的根拠に使用承諾書の添付が必要であるとされます。
風俗営業をはじめる場合、大半のケースでは物件を賃貸して営業を開始します。
その際に物件の所有者から、申請する営業について使用を認めてもらっていることを証明するためのものが使用承諾書です。
普通は賃貸借契約を結んでいれば当然に承諾があると思いがちです。
しかし、風俗営業や性風俗営業となると、所有者が思っていた営業と違うというケースが往々にして起こるため、あらかじめ事前に承諾を得ておく必要があります。
特に風俗営業の場合は届出ではなく許可となります。
許可の場合は許認可権限者にある程度の裁量が認められます。
つまり、トラブルが発生した場合は、許可をした公安委員会に責任が生じる可能性がでてきます。
行政機関というものはこのような責任問題を極端に嫌う傾向があります。
そのため、許認可をスムーズに通すためには、いかに行政機関に責任が生じないようにするかという考え方が重要になってきます。

そもそも承諾が取れない

「風俗営業」という言葉に過剰に反応する所有者は意外と多くいらっしゃいます。
バーやスナックはOKだけどキャバクラや雀荘はちょっと…と言われることもあります。
まだまだ「風俗営業」という先入観があるようです。
特に性風俗営業であるデリヘルや映像送信型の営業が認められる物件は非常に少ない印象です。
この場合は所有者に丁寧に説明をしてOKとなることもあります。

所有者が複数存在する

物件の所有者が一人であればシンプルですが、共有となっているケースがあります。
この場合はすべての所有者から承諾を得る必要があります。
誰か一人でも反対したらテナントの使用は認められません。
登記簿などで所有者を確認する際にはすべての所有者を確認しておく必要があります。
共有者が海外にいて承諾が得られないといったこともあるので注意が必要です。

転貸借がされている

転貸とは簡単にいえば又貸しのことです。
登記簿上の所有者と賃貸借契約書の賃貸人が異なるケースです。
この場合は所有者だけではなく、契約書上の賃貸人からも承諾を得る必要があります。
所有者→申請者、契約書上の賃貸人→申請者への2通の承諾書が必要です。
また、そもそも転貸が認められているかということも確認しなければなりません。

登記簿と実態が違う

物件の所有者を確認する方法としては登記事項証明書(登記簿)を確認することが一般的です。
しかし、登記簿上の所有者と実際の所有者が違うというケースがあります。
例えば相続が発生していて相続登記を行っていないケースや売買があったのに所有権移転登記を行っていないといったことが考えられます。
当然、真の所有者ではない方から使用の承諾を得ることはできません。
この場合は、登記簿以外で所有者を公的に証明した上で承諾を得る必要があります。
方法はいくつかありますが、固定資産課税台帳(名寄帳)を取得する方法が比較的やりやすいでしょう。
請求先は不動産のある市町村の役場になります。(東京23区の場合は都税事務所)
固定資産台帳とは、市町村が固定資産税の価格を明らかにするために所有者ごとにリスト化したものです。
台帳に記載されている納税義務者を宛名として承諾を得ることで申請が認められることがあります。
ただし、管轄の警察署によって扱いが異なるケースがあるため、事前に確認しておく必要があります。

深夜における酒類提供飲食店営業

キャバクラやホストクラブなどの風俗営業、映像送信型性風俗営業などの性風俗営業では、府令で「営業所の使用について権限を疎明する書類」を添付する必要があると規定されています。
しかし、深夜酒類提供飲食店営業の届出に関しては法定書類とはされていません。

深夜酒類提供飲食店営業の届出においては、使用承諾書の添付は義務ではありません。
ただし、実際の運用では警察から賃貸借契約書や使用承諾書の添付を求められることがほとんどです。
営業開始後のトラブルやスムーズな手続きを考えると素直に提出したほうがメリットがあるといえます。

使用承諾書に記載する内容

使用承諾書の書式については特に定められているわけではありません。
必要な事項が記載されていれな問題ありません。
おおむね下記の事項が記載されていれば問題ありません。

使用承諾書の記載事項
  • 所有者から建物使用に関する承諾する文言
  • 建物の構造
    鉄筋コンクリート造陸屋根など
  • 建物の所在地 
    地番、家屋番号、住居表示
  • 使用する目的 
    風俗営業の種別に応じて記載
  • 使用する建物の部分 
    階数や建物の一部か全部など
  • 使用を承諾する期間

使用承諾書の様式は、弊所にてご用意可能です。

最後に

以上のように使用承諾書については、気を付けるポイントが複数あります。
風俗営業を始めるにあたって使用承諾書の扱いがネックとなることはよくあることです。
登記簿や賃貸借契約書などは、普段はあまりなじみのない書類です。
申請で多大な時間を使ってしまうくらいなら専門家に丸投げして本業に集中することも一つの方法です。
弊所は風俗営業申請の専門家として迅速に手続きを完了させます。
使用承諾書の扱いについては様々なケースを経験しておりますので是非ご相談ください。

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