令和6年3月8日付で警察庁からアナログ規制の緩和についての通達が発出されています。
風営法の運用に関していくつかの変更がなされています。
お店の営業や風営法に及ぼす影響と通達の内容を確認してみたいと思います。

アナログ規制の見直しとは?

アナログ規制とは、時代に合わない法令の規制によって効率化やコスト削減が妨げられているルールのことです。風営法は特に時代に合っていないといわれることが多い法律です。

ざっくりとした説明になりますが、主に下記の7項目に分類して規制緩和が進められています。
(各々の内容に関しては割愛しますので下記のリンクをご参照ください)

代表的なアナログ規制である7項目
  • 目視規制
  • 実地監査規制
  • 定期検査・点検規制
  • 常駐・専任規制
  • 対面講習規制
  • 書面掲示規制
  • 住訪閲覧縦覧規制

例えば、必ず人が現場に行って確認する目視義務や書面による掲示義務などが典型的です。
日本は諸外国と比較してデジタル化が遅れているといわれます。
そのため、政府が様々な分野でアナログ規制の見直しを進めています。
アナログ規制見直しの取り組み(デジタル庁HPより)
この流れにより、風営法の規制においても一部見直しが行われ、警察庁から通達が発出されました。

風営法におけるアナログ規制

風営法においては、「書面掲示規制」「目視規制」に関して運用の見直しが行われました。
主に営業者の遵守事項に関する規制緩和となっています。

書面掲示規制

書面掲示規制とは、公的な証明書などを紙発行で特定の場所に掲示を求めている規制です。
風営法においては、許可証の掲示義務などが該当します。
今回の通達では、以下の2つの項目で見直しが行われています。

許可証の掲示

風営法の許可を受けたお店は、許可証を営業所の見やすい場所に掲示する必要があります。

(許可証等の掲示義務)

第六条 風俗営業者は、許可証(第十条の二第一項の認定を受けた風俗営業者にあつては、同条第三項の認定証)を営業所の見やすい場所に掲示しなければならない。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第6条

通達により許可証の画像や記載事項をインターネット上に掲載することも可能とされました。
ただし、営業所での掲示が前提となっていることに注意が必要です。
つまり、インターネット上で公開しても実際のお店に掲示していなければ法令違反ということです。
あくまで補助的な運用ということです。

他人に迷惑を及ぼしてはならない旨を表示した書面の掲示

「他人に迷惑を及ぼしてはならない旨を表示した書面」とは、深夜営業を行う際に掲示しなければならない書面です。
泥酔者への注意喚起などを記載した書面になります。
こちらも許可証と同様に掲示義務が課されています。

(深夜における客の迷惑行為を防止するための措置)

第二十七条 風俗営業者は、法第十三条第三項の規定により深夜において同項の措置を講ずるときは、次に定めるところによらなければならない。

 営業所の周辺において他人に迷惑を及ぼしてはならない旨を表示した書面を営業所の見やすい場所に掲示し、又は当該書面を客に交付すること。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則第27条1項

深夜営業とは、午前0時以降の営業のことです。
朝まで営業するガールズバー、ショーパブ、営業延長許容地域で営業するキャバクラなどが対象となります。

こちらもお店での掲示が前提ですが、インターネット上での公開も可能となりました。
ただし、書面の掲示を免除することではない点にご注意下さい。

目視規制

目視規制とは、人が実際に現地に赴き基準に適合しているかを確認する規制です。
風営法においては、深夜営業を行う際に定期的な巡視の義務が課されています。

営業所の周辺等の定期的な巡視等

深夜営業を行う際には、従業員が実際に定期的な巡視を行い、迷惑行為が行われていないか確認する必要があります。

 営業所内及び営業所の周辺を定期的に巡視し、営業所の周辺において他人に迷惑を及ぼす行為を行い、又は行うおそれのある客の有無を確認すること。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則第27条4項

しかし、今回の緩和によりウェブカメラなどのデジタル機器の活用が補助的に認められました。
ただし、補助的な活用が可能ということでしかありません。
実際の巡視義務を免除するものではないことに注意が必要です。

最後に

今回のアナログ規制緩和で劇的に風営法の運用が変わったわけではありません。
しかし、今後でデジタル化が進むことによって風営法も変貌していく可能性はあります。
例えば対面のみである管理者講習もいずれはオンラインで開催される方向ではないかと思います。
まずは、現行の法令を遵守した上で改正に備えておく必要があります。
弊所では常に最新の動向を基に許認可業務の対応を行っています。
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