風俗営業許可を受けるためには、人的要件の欠格条項に抵触していないことを証明する必要がなります。
それを疎明する書類として、身分証明書というものがあります。
身分証明書としてすぐ思いつく免許証や住民票ですが、本人確認としてはそれらは必要なのものですが、風俗営業許可で必要となる身分証明書にはなりません。

「身分証明書」と「登記されていないことの証明書」

風俗営業許可において必要な身分に関する書類は「身分証明書」、「登記されていないことの証明書」、「住民票」になります。
※後述しますが「登記されていないことの証明書」は令和元年12月の改正で不要となりました
住民票は皆さんご存じだと思いますが、その他の2つの書類はあまり聞いたことがないのではと思います。

身分証明書

身分証明書と聞いてほとんどの方が免許証やマイナンバーカードを思い浮かべると思います。
しかし、風俗営業許可で必要な「身分証明書」は禁治産、準禁治産宣告の通知、後見登記の通知、破産宣告、破産手続開始決定の通知を受けいないことを証明するものになります。
本籍地のある市役所や区役所でしか発行できないため、本籍地が遠方にあると想定以上に時間がかかってしまうケースがあります。
郵送での請求もできますが、時間が結構かかってしまいますので1分1秒を争う風俗営業許可では注意が必要です。

登記されていないことの証明書

成年被後見人や被保佐人として登記されていないことを証明する書類です。
成年後見制度とは簡単にいうと認知症などで判断能力が低下した人に後見人や保佐人といった人を選任してサポートを行う制度です。そしてこの制度は後見登記によって公示されます。
登記は法務局の管轄なので「登記されていないことの証明書」は法務局に請求することになります。
全国どこの法務局というわけではなく、本局とよばれる法務局でしか請求できません。
郵送での請求だと東京法務局のみの受付となります。

成年被後見人、被保佐人の扱い

令和元年12月14日から「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化を図るための関係法律の整備に関する法律」が施行されています。
申請者に対する欠格条項であった成年被後見人又は被保佐人という文言が削除されました。(管理者含む)
つまり上記の「登記されていないことの証明書」の添付は不要になっています。
成年被後見人制度がいまいち浸透していないことと不当な差別をなくそうということが趣旨と思われます。
風営法だけでなく様々な法律で成年被後見人等の権利に対する制限の緩和が実施されているようです。

最後に

最終的に身分関係で必要な書類は住民票(本籍記載)、身分証明書のみです。(法人の場合は役員全員分)
注意点としては3ヵ月以内に発行したものとなるので申請予定日から逆算して取得しないと再度取得するはめになってしまいます。
また、成年被後見人の扱いが変わったので、申請時に提出する欠格要件に該当しない旨の誓約書の内容が変更されています。
弊所では、このうような法令の変更には常にアンテナを張って活動していますので、不明点などあればお気軽にご相談ください。