風営法に基づく申請を行う場合、「許可申請」と「届出」という2通りの手続きがあります。
一般的に、キャバクラやホストクラブなどを開業しようとする場合は「許可申請」、スナックやコンカフェの場合は「届出」となるケースが多いです。
どちらも行政に対して営業したいと申請するものですが、似て非なるものです。ここで違いを明確にしておきましょう。
許可とは
行政法学的には、本来は誰でも行っていい行為をあらかじめ禁止しておき、個別の申請に基づいて特定の場合に解除する行政行為といわれています。
例えば、お店の営業や自動車の運転が誰でも自由にできたとします。そうすると、飲食店で衛生管理ができなければ食中毒が発生したり、交通ルールを知らずに運転すれば交通事故が多発するでしょう。
そうならないように、審査を行い要件に合致したものにだけ許しましょうというのが許可制度です。
届出とは
行政法学的には、行政庁(権限のあるところ)に対して一定の事項を通知する行為(申請に該当するものを除く)であって法令により直接に当該通知が義務付けられるものをいう。
届出は、形式上の要件に適合していれば、届けが行政庁に到達した時点で義務は履行されたものとなります。
許可とは異なり、行政庁に裁量権はないとされていますので、審査は行われません。
そのため、一般的には許可申請より簡易的な手続きとされます。
風営法に規定のある営業
1~5号営業・特定遊興飲食店営業 | 許可 |
深夜酒類提供飲食店営業 | 届出 |
性風俗関連特殊営業 | 届出 |
一番下の性風俗関連特殊営業は、届出ではあるのですが、新規出店するための難易度は許可申請が必要な風俗営業よりも難しい部分があります。これには『本質的に不健全』な性風俗関連特殊営業を「許可」としておおっぴらに認めるのは適切ではないといった趣旨があるものと思われます。
標準処理期間については、許可の場合は申請から許可がおりるまで約55日(東京都の場合)が目安で、届出の場合は受理された日の10日後から営業が可能です。
まとめ
風俗営業を始めたいと思ったらまず、そのお店は許可が必要なのか、届出でよいのかを確認しましょう。それによって営業開始までのスケジュールが変わってきます。また、本来許可が必要な営業なのに届出で済ませていると、無許可営業という風営法において最も重い罪に問われる可能性があります。
適正な許認可を取得するために判断に迷うことがありましたら、弊所までお気軽にご相談ください。