2223年10月1日からステルスマーケティング(以下、ステマ)が規制されます。
2023年3月に不当景品及び不当表示防止法(以下、景品表示法)の運用基準が変更されました。
その中でステマが「不当表示」として指定されることになったからです。
消費者庁ではこちらで今回の運用変更に関して公表しています。
ステマとは、「広告であるにもかかわらずに、広告であることを隠すこと」と定義されています。
例えばSNS上で影響力のある発信者などが個人の感想などと偽って宣伝するといった感じです。
そうすると本来の商品価値とは異なった情報が発信されるため、消費者が合理的に商品を選択できない可能性があります。
日本ではこのようなステマに対して規制が緩かったため、問題視されていました。
ようやく諸外国並みに広告宣伝に関する規制が整備されてきたといえます。
ステマ規制に関しては、あいまいな部分もあり、他に詳しく解説しているサイトもたくさんあります。
そこで弊所では、風営法との関係について解説したいと思います。

風営法による広告宣伝規制

風営法では営業者の遵守事項として広告宣伝が規制されています。

(広告及び宣伝の規制)

第十六条 風俗営業者は、その営業につき、営業所周辺における清浄な風俗環境を害するおそれのある方法で広告又は宣伝をしてはならない。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第16条

ステマを直接規制するような条文は風営法にはありません。
しかし、風俗営業では清浄な風俗環境を害する方法で広告宣伝を行ってはいけません。
過度に射幸心を煽ったり、性的好奇心を刺激するような広告宣伝は風営法の規制対象となります。
その他、広告宣伝を行う地域を制限する規定もあります。

上記のような風営法における広告宣伝規制とステマ規制は別です。
そのため今回の景品表示法の運用基準の変更とは関係なく及ぶことに注意が必要です。

風俗営業におけるステマの活用

風俗営業においては、広告宣伝に関して上記のように厳しく規制されています。
そのため、すべての事業者がというわけでありませんが、ステマは広告宣伝の手法の一つとなっています。
言い換えれば自らが主体となって広告宣伝ができないため、第三者に頼っていたともいえます。
第三者を装い、お店に対して好意的な口コミを投稿したりSNSで拡散するといった方法が典型的です。
特にパチンコ業界では、「晒し屋」とよばれるインフルエンサーなどがSNSで設定状況や開店情報を示唆する行為が目立っていました。
今後はこういった行為が罰則の対象となる可能性があります。
第三者に依頼して広告宣伝を行う場合は「広告」、「PR]などの表示をしなければなりません。
ただし、広告宣伝が本物の「第三者」が自主的に発信したものであれば問題はありません。
この線引きは曖昧ですが、お店と何らかの関与(対価等)がある場合は違法となる可能性が高まります。

消費者庁からステマ規制に関する運用基準が公開されています。
「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示の運用基準」

景品表示法による罰則

事業者が行った広告宣伝がステマとされると罰則の対象となります。
ただし、いきなり刑事罰の対象となることはありません。
まずは、消費者庁や都道府県による誤認の排除や再発防止策の実施を命令する措置命令が行われます。
それでも違法な広告宣伝を継続した場合は、2年以下の懲役又は300万以下の罰金(併科)です。
ただし、罰則の対象となるのは広告主のみです。
つまり、SNSなどに投稿するインフルエンサーなどは罰則の対象とはなりません。

10月から運用が変わるもの

今回のステマ規制もそうですが、10月から新たな規制や運用が変わるものも多くあります。

解体工事の事前調査

建築物や工作物などを解体する際には石綿使用の有無を調査しなければなりません。
2023年10月1日からは、有資格者による調査が義務付けられています。

インボイス制度の開始

インボイス制度もいよいよ2023年10月1日からスタートしています。
弊所の主要業務である風俗業界や建設業界にも大きな影響が考えられます。

最後に

風俗営業において広告宣伝は一つ間違うと違法行為となるリスクがあります。
まずは、ステマ規制の前に風営法の規制を守らなくてはなりません。
あらためて風営法の規制や業界団体のルールを確認しましょう。
また、10月から変更となる法令も多くあり、常に最新の動向を確認しておく必要があります。
風営法も解釈の変更や下位法令の改正は頻繁に行われています。
弊所でも常にアンテナを張り、最新の情報をアップデートしてサポートを行っていきたいと考えています。

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