今からちょうど38年前の1985年の2月13日は、風営法にとって大きな転換点を迎えた日でした。
いわゆる「新風営法」と呼ばれる法律が施行された日です。
今日の風俗営業に対して多大な影響を与えた改正であり、現行の風営法にもつながるものです。

風営法から風適法へ

1948年に制定された「風俗営業取締法」が、1984年の改正(1985年施行)で「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」に名称が変更されました。これが「新風営法」と呼ばれるものです。
それまでは取り締まるための法律でしたが、この改正で、善良な風俗環境の保持、青少年の健全な育成ために適正化を促進するという目的が明記されました。
風俗営業取締法と区別するために「風適法」と呼ばれることもしばしばあります。(当サイトは認知度などを考慮して風営法と呼んでいます。)

改正の内容

風俗営業取締法ではわずか8条しかなかった条文を51条まで増やし、名称は前述のように「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」に変わりました。
それまで許可の基準などは都道府県の条例に委任されていることが多かったのですが、ある程度全国的に統一されたルールも制定されました。
ほぼ全面改正と呼べるもので、警察権限の拡大や強化が図られており、現行の風営法の土台となっています。
また、営業の自由への侵害や警察の不当介入のおそれがあることから附帯決議がつけられました。
附帯決議はこちら → 第101国会附帯決議

ゲームセンター

ゲームセンターは1985年以前は風俗営業ではありませんでしたが、1984年の改正で新たに風俗営業8号営業(現在は5号営業)として規制を受けることになりました。
風俗営業に加えられた背景として、1980年代前半からのビデオポーカーによる賭博問題の増加がまず考えられます。
また、規制前のゲームセンターは24時間営業が当たり前だったので、年少者の深夜の溜まり場になったり、年少者の殺傷事件が発生したりと、犯罪の温床とみられていました。
この改正によりゲームセンターは深夜の営業が禁止され、未成年の入場時間に関しても法律と条令で規制が加えられました。(2016年からは保護者同伴による未成年の入場時間が緩和されました。)

風俗関連営業

改正当時に大流行していたノーパン喫茶やのぞき部屋といった営業は、風俗関連営業とされて規制が入りました。
届出の要件として厳しい立地制限や広告規制が規定され、これらの営業は一気に衰退、業態転換を迫られました。
ラブホテルやアダルトショップなども同じく風俗関連営業としてソープランドなどと同列の扱いになり、届出が必要になりました。
また、深夜酒類提供飲食店営業が規定されたのも1984年の改正からです。
一方、雀荘でのアルコール提供や、ダンス教室の18歳未満の立入りについては規制が緩和されました。

最後に

風俗営業の規制は「いたちごっこ」に例えられます。規制をしてもすぐに新しい業態が生まれ、何か問題が起これば、そのたびに規制が強化されているからです。
現行の風俗営業は細かく分類され、条例で規制される営業などもあり、その規制は多岐にわたっています。
関連記事はこちら → 風営法以外で規制される営業

しかし、ビリヤードやダンスなど、時代の変化に対応して規制緩和が進むこともあります。
最近も4号営業(パチンコ)における広告規制で動きがありました。
詳しくはこちら → ぱちんこ営業における広告及び宣伝の取扱いについて(通達)-警察庁通達

最近では、メンズコンカフェやメンズ地下アイドルの問題が大きく取り上げられています。
未成年が犯罪に巻き込まれることは決してあってはならないと思います。
青少年の健全な育成や風俗環境を害する事案に対しては毅然とした対応が必要ですが、強い規制はアングラ化や巧妙な規制逃れによるさらなる犯罪の温床となるおそれもがあります。
今後も時代の流れに合った法律の改正が行われることで営業の自由が保障された風俗営業が健全に営業されるよう、弊所も協働していきたいと考えています。

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