小学生や中学生だけでゲームセンターで遊んでいる光景はよく目にします。
ゲームセンターは今では不良のたまり場といったイメージはありません。
しかし、プライズゲームやメダルゲームなど、多額のお金を使う可能性がありトラブルに巻き込まれる可能性もあります。
ゲームセンターは風俗営業としてカテゴライズされています。
風俗営業は年少者(18歳未満の者)に対して厳しい規制がありますが、小学生同士の入場は違法となるのでしょうか。
年少者の入場に関する規制に関して条例を交えてまとめてみたいと思います。

風営法の年少者に対する規制

風俗営業を営む者は、年少者を客とすることは禁止行為とされています。

第二十二条 風俗営業を営む者は、次に掲げる行為をしてはならない。
 十八歳未満の者を営業所に客として立ち入らせること(第二条第一項第五号の営業に係る営業所にあつては、午後十時から翌日の午前六時までの時間において客として立ち入らせること。)

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第22条1項5号

また、風俗営業者の遵守事項として「年少者の立入禁止の表示」も定められています。

ただし、年少者の入場制限は風俗営業の種別によって異なります。
キャバクラなどでは年少者がお店に入ることはできませんが、ゲームセンター(5号営業)は時間帯によって入場が可能です。
風営法では午後10時から6時までの時間で18歳未満の入場を禁止しています。
逆にいえば午後10時までは入場してもよいという解釈になります。

5号営業の年少者の立入り

2016年に改正されるまでの風営法では、16歳未満は18時以降、18歳未満は22時以降のゲームセンター(5号営業)への入場は禁止されていました。
しかし、この改正で22時までは一律で年少者の入場が可能となりました。

条例への委任

年少者の入場は22時まで可能となりました。
しかし、夜の時間帯に年少者がゲームセンターに行くことは治安の面でまだ不安があります。

 都道府県は、少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要があるときは、条例により、第二条第一項第五号の営業を営む者が午前六時後午後十時前の時間において十八歳未満の者を営業所に客として立ち入らせることを禁止し、又は当該営業を営む風俗営業者が当該時間において十八歳未満の者を営業所に客として立ち入らせることについて、保護者の同伴を求めなければならないものとすることその他必要な制限を定めることができる。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第22条2項

そのため、各都道府県の条例に委任することで年少者の入場を上乗せで制限しています。
関東1都3県の条例では、ゲームセンターの入場に関して下記のように規制されています。

ゲームセンターの入場制限

法令上は18時までは小学生や中学生だけでゲームセンターで遊ぶことは可能です。
しかし、学校やゲームセンター独自で制限を設けている事例もあります。

許可を要しない営業

ショッピングセンターのゲームコーナーや、いわゆる「10%ルール」の適用を受けて風営法の許可を要しないお店もあります。
ただし、風営法の許可を要しないだけであって、法の適用はあります。
つまり年少者に対する規定も適用されるので注意が必要です。

アミューズメントカジノやポーカーバー

また、同じ5号営業でもアミューズメントカジノやポーカーバーといった営業もあります。
上記の通り、法律上は年少者でも22時まで入場することが可能です。
しかし、お酒の提供や「カジノ」ということで独自に18歳未満の者の入場を禁止していることもあります。

年少者の立入禁止の表示

風俗営業者の遵守事項として、年少者の立入禁止の表示を行う必要があります。

風俗営業者は、国家公安委員会規則で定めるところにより、十八歳未満の者がその営業所に立ち入つてはならない旨(第二条第一項第五号の営業に係る営業所にあつては、午後十時以後の時間において立ち入つてはならない旨(第二十二条第二項の規定に基づく都道府県の条例で、午前六時後午後十時前の時間における十八歳未満の者の立入りの禁止又は制限を定めたときは、午後十時以後の時間において立ち入つてはならない旨及び当該禁止又は制限の内容))を営業所の入口に表示しなければならない。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第18条

表示する内容

18歳未満の者が営業所に立ち入ってはならない旨を表示する必要があります。
ゲームセンターで時間に応じて入場制限をしている場合、その内容がわかるような表示をしなければなりません。

表示する場所

営業所の入口に表示する必要があります。
入口が複数あればすべての入口が対象となります。

表示をしなかった場合

遵守事項に対する違反なので原則として指示処分の対象となります。
さらに指示処分に対して違反をすると営業停止命令までありえます。
この規定は表示義務に対する違反なので、実際に立ち入らせたときは22条違反となることに注意が必要です。
22条は禁止行為の規定なので、40日以上6カ月以下の営業停止命令、罰則として100万以下の罰金です。

最後に

ゲームセンターが規制対象となった1985年頃と今のゲームセンターでは環境がまったく違います。
しかし、小学生だけで多額のお金を使うことはリスクも伴います。
年少者に対して厳しい規制がある風俗営業ですが、適法であれば年少者を客とすることもできます。
ただし、風営法や都道府県の条例を遵守する必要があります。
規制緩和も進むと思いますが、ゲームセンターはまだ風俗営業の規制対象です。
立入り検査が入ったときに無用な指摘を受けないためにも、日頃から表示義務や従業者名簿といった基本的な事項を忘れずに準備しておきましょう。

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