先日、女性従業員を人質にしてネットカフェに立てこもる事件がありました。
ネットカフェに関しては以前からその個室に対する危険性が指摘されることもありました。
今回の事件は幸い大事には至らず解決しましたが、風営法に携わる身としては今後の法改正や新たな規制が入る可能性もあると感じました。

ネットカフェの法的位置づけ

まずはネットカフェの法的な位置づけはどうなっているのでしょうか。
東京都ではネットカフェを始めるためには、公安委員会にインターネット端末利用営業の届出が必要です。その上で飲食を提供するのであれば飲食店営業許可、深夜に酒類を提供したければ深夜酒類提供飲食店営業の届出をすれば営業が可能となります。(深夜酒類提供飲食店営業の場合は住宅地では不可)

風営法との関係

風営法で区画席飲食店営業という許可があります。3号許可とよばれているものですが、風営法では下記のように規定されています。

喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが五平方メートル以下である客席を設けて営むもの

風営法第2条3号

まさにネットカフェの個室のことを言っているような気がします。もし、ネットカフェが風俗営業に該当した場合、18歳未満のお客さんは入れず、深夜の営業は不可能となります。
しかし、実際にネットカフェが風俗営業許可を取得したという話はあまり聞いたことがありません。それでは世の中のネットカフェは全て違法営業なのかというと、そういうわけではありません。
正確には風営法に該当しないように営業しているといったほうがよいでしょう。
ネットカフェの個室をよく見ると扉が透明だったり、欄間が広くとられていたりします。これは「他から見通すことが困難」という要件に該当しないためです。また、鍵付きの個室に関しては飲食物の提供不可となっていて、別に飲食スペースがあることが多いと思います。これは飲食をさせていないので風営法に該当しないという立て付けです。
このように経営者様の努力によって風営法の規制を受けないような営業がなされています。

旅館業法との関係

皆さんも終電を逃してネットカフェで宿泊してしまったという経験があるかと思います。
人を宿泊させる営業を行う場合は旅館業法の許可が必要です。
しかし、私が知る限りですがネットカフェで旅館業法の許可を取得しているという話もあまり聞きません。
旅館業法に該当するか否かは次の4つの基準で判断されます。
1 宿泊料徴収の有無
2 社会性の有無
3 継続反復性の有無
4 生活の本拠か否か
これ以上は脱線してしまうので省略しますが、ネットカフェが上の4つの基準に該当しないのはおわかりかと思います。

風営法の規制の歴史

風営法は何か事件があると規制を強化してきた歴史があります。(風営法に限らずですが)
古くはダンスホールやダーツなどが売春の温床だと規制され、ゲームセンターも若者が朝まで遊んでいるのはけしからんと規制されてきました。
ネットカフェも現状では厳しい規制や指導などはありませんが、同様な事件が相次げば公安委員会も動かざるを得ないと思います。

今回の事件を受けて

今回の事件は、幸い大事に至らなかったのですが、公安委員会から「やはりネットカフェは犯罪の温床だ」という声があがるきっかけになるかもしれません。
ネットカフェはセーフティネットとしての側面もあるため、警察も黙認していたところがあったと思いますが、今回の事件をきっかけに世論の盛り上がりによっては規制強化も考えられます。
もちろん、いきなりネットカフェは「区画席飲食店」に該当するから風俗営業許可が必要だとはならないと思いますが、今まで以上に規制が強化されることは十分に考えられます。
新たな設備投資や社員教育が必要となるとお金も時間も必要です。
規制されてからではなく、今のうちから想定できる準備をしておくことが大切です。