風営法改正案が国会に提出され、いよいよ改正が現実味を帯びてきました。
改正案はこちら→風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案
風営法の改正案が国会に提出されるのは、特定遊興飲食店営業が新設された平成27年以来、10年ぶりです。
報道によると悪質ホストや色恋営業といったことがクローズアップされがちです。
しかし、改正案の条文を確認すると性風俗特殊営業にも大きな影響がありそうです。
特にメンズエステなどの性風俗営業が疑われる業態は気をつける必要があります。
改正案の概要
国会に提出された改正案の主なポイントは下記の4つです。
- ホストクラブ・キャバクラなどに対する遵守事項・禁止行為(色恋営業等)の追加
- 性風俗店によるスカウトバックの禁止
- 無許可営業等に対する罰則の強化
- 欠格事由の追加
悪質ホストクラブだけの問題ではない
今回の改正案の対象は、悪質なホストクラブだけではありません。
色恋営業や売春行為の強要などは、キャバクラやガールズバーといった接待飲食店営業として風俗営業許可を受けていれば対象となります。
「スカウトバックの禁止」と「無許可営業等に対する罰則の強化」については、性風俗特殊営業も対象となります。
スカウトバックの禁止
現行の風営法第28条では、店舗型性風俗店に対する禁止行為などが規定されています。
改正案では第28条第13項として下記の条文を追加しています。
第28条
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案 警察庁HPより引用
13 第二条六項第一号又は第二号の営業を営む者は、営業所で異性の客に接触する役務を提供する業務に従事しようとする者の紹介を受けた場合において当該紹介をした者又は第三者に対し、当該紹介の対価として金銭その他の財産上の利益を提供し、又は第三者をして提供させてはならない。
要約すると、ソープランドとファッションヘルスを営んでいる者は、スカウトなどに紹介を受けた対価として金品を提供してはいけないということです。
一見、メンズエステは関係ないと思われがちですが、実は関係してきます。
「営業を営む者」とは、ソープランドやファッションヘルスとして届出をしている者に限られません。
例えば、いわゆるルーム型でメンズエステを経営していた場合を想定します。
風営法の届出を出さずに性的サービスを行ってしまえば「営業を営む者」に該当する可能性があります。
この場合、スカウト等を活用して対価を支払っていればこの規定に抵触してしまいます。
(6ヵ月以下の拘禁若しくは100万円以下の罰金又は併科)
無許可営業等に対する罰則の強化
現行の風営法では、第49条で無許可営業等に対する罰則を規定しています。
罰則の上限は、2年以下の拘禁刑若しくは200万円以下の罰金又は併科です。
改正案では5年以下の拘禁と1,000万円以下の罰金に引き上げられています。
また、両罰規定(行為者だけでなく、営業者(法人)にも罰則を適用)に関する第56条も変更となります。
改正案では、新たに第57条として第49条にかかる違反行為をした場合の措置は下記の通りです。
第57条
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案 警察庁HPより引用
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
一 第四十九条 三億円以下の罰金刑
つまり、法人として第49条違反と判断されてしまうと上限3億円の罰金の可能性があります。
両罰規定の対象となる行為
両罰規定として最大で3億円の罰金刑が科される主な行為とは下記の通りです。(風営法第49条)
- 公安委員会の許可を受けずに風俗営業を営んだとき
- 名義貸しを行ったとき
- 禁止地域、区域で性風俗特殊営業を営んだとき
風俗営業とは、悪質ホストクラブだけではなく1~5号営業すべてです。
つまり、キャバクラや雀荘、アミューズメントカジノなども含まれます。
風俗営業許可を受けずに接待行為を行っているガールズバーやコンカフェなども対象となります。
メンズエステの場合は、ルーム型として営業を行っている場合は特に注意が必要です。
公安委員会に届出を出さずに性的サービスを行っていた場合は、店舗型性風俗営業として禁止地域・区域での営業とみなされることがあります。
風営法、条例により店舗型性風俗営業の届出が受理される地域は極めて限られています。
もし、店舗型性風俗特殊営業とみなされてしまうと罰則の対象となります。
最後に
今回紹介した改正案は、まだ国会に法案が提出された段階です。(2025年3月現在)
国会を通過して公布され、さらに公布から1ヶ月後に施行という流れです。(一部は6ヵ月)
経過措置も考えると直ちに改正となるわけではありません。
まだ時間があるように思われますが、施行されてから動いては後手に回ってしまいます。
該当する営業を行っているなら今のうちから準備をしておくべきです。
規制が強化されるといっても、適法な届出を行い合法的にメンズエステを営業していれば問題ありません。
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