営業を開始して、売上も安定してきたので店舗の拡張や内装を変更しようと考えることもあるかと思います。
しかし、許可を受けた状態からそれらの変更する際には注意が必要です。
風営法では事後の変更届の提出か、事前の変更承認申請が必要なケースがほとんどとなります。
この申請を怠り、無承認変更という罪で摘発されると最悪の場合、営業許可取消しまであります。
変更届
変更届とは、比較的軽微な変更なので事後の届出が認められている簡易な手続きです。
構造や設備について下記のような軽微な変更や営業者に関する事項の変更の場合は変更届でよいとされています。わざわざ営業を止める必要はありません。
営業者の情報に変更があった場合
- 営業者の氏名(個人の場合は改姓や改名、法人の場合は社名)及び住所の変更
- 法人の代表者氏名(改姓や改名)の変更
- 営業所の名称の変更
- 管理者の氏名及び住所の変更(14日以内に新しい管理者を選任する必要あり)
- 法人役員の氏名及び住所の変更
変更のあった日から10日(法人の場合は20日)以内に変更届を公安委員会に提出する必要があります。
営業者自体や法人の代表者自体が変更となる場合は新たに許可を受ける必要があります。
設備又は構造に変更があった場合
- 営業所の小規模の修繕又は模様替
- 食器棚その他家具(作り付けのものを除く。)の設置又は入替え
- 飲食物の自動販売機その他これに類する設備の設置又は入替え
- 照明設備、音響設備又は防音設備の変更
- 遊技設備(パチンコ、パチスロ遊技機を除く)の増設交代
変更のあった日から1ヵ月(照明、音響、消防設備の場合は10日)以内に変更届を公安委員会に提出する必要があります。
添付書類
変更しようとする事項に応じて下記の申請書と疎明書類が必要になります。
・変更届出書(正副2部)
・住所の移転先、移転元が確認できる住民票
・会社登記事項証明書
・変更前と変更後の構造・設備がわかる図面
全ての届出が可能というわけではありませんが郵送での届出も可能です。
変更承認申請
変更承認申請は変更届と違い、事前に公安委員会にお伺いをたてる手続きです。
上記の軽微な変更を除く増築、改築その他の行為による営業所の構造又は設備の変更の場合は、予め公安委員会の承認を受ける必要があります。申請後、検査を受けて承認通知がくるまで変更部分の営業はできません。ここで勝手に営業をしてしまうと無承認変更となって許可取消しまでありますので注意が必要です。
変更承認申請が必要な構造及び設備の変更
構造上の要件の基準を満たさなくなる可能性がある変更は、あらかじめ承認申請をした上で再度、構造検査が行われます。許可後に勝手に構造を変更されては基準が骨抜きになってしまうので当然ですね。
具体的には下記の変更を行う場合は変更承認申請となります。
扉や間仕切り1枚の変更でも承認申請が必要なことにご注意ください。
- 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第14号に規定する大規模の修繕又は同条第15号に規定する大規模の模様替に該当する変更
- 客室の位置、数又は床面積の変更
- 壁、ふすまその他営業所の内部を仕切るための設備の変更
- 営業の方法の変更に係る構造又は設備の変更
添付書類
・変更承認申請書(正副2部)
・変更前と変更後の構造・設備がわかる図面
・営業所周辺の略図
・営業所の使用について権原を有することを疎明する書類
※手数料が11,000円かかります。
変更承認申請の流れ
変更承認申請の場合は予め公安委員会の承認が必要なため、工事を始める前に管轄の警察署に相談したほうが無難です。工事が終わってから要件に合わないので承認できませんとなったら余計な費用や時間がかかってしまいます。もちろん弊所までご相談いただいても適切なアドバイスをさせていただきます。
- 変更内容を管轄の警察署や専門家に相談
- 変更承認申請
- 工事着工
- 検査
概ね10日間前後で承認となります
- 承認通知書受理
- 変更部分の営業再開
営業を止める可能性もありますのでスケジュールは余裕をもっておきましょう。
届出を要しない構造又は設備の変更
最後に届出がいらないケースになります。
- 割れたガラスの交換
- 壁紙の張替え
- 同じワット数の電球の交換
- 同じ音響レベルのスピーカーの交換
- ゲームセンターでのソフトウェアのみの交換
- ゲーム機の位置の変更
- 見通しを妨げない程度の椅子、テーブル等の配置変更
この程度の変更でいちいち届出をしていたらきりがないですが、電球やスピーカーの交換の際は、従前と同じものでないと、照度などの構造上の要件に抵触してしまうおそれがあるので注意が必要です。
まとめ
営業開始後に何かを変更しようと思った場合、許可の要件に触れる変更は全て届出が必要と思いましょう。
また、営業所の同一性を損なうような大きな変更を行う場合は新規許可となってしまうケースもありますがそれはまた別の機会で触れようと思います。
軽微な変更だから大丈夫と思ったり、めんどくさがって届出を放置しておくと、いざ立入などがあったときに違反が発覚して必要以上に厳しい処分を受けてしまう可能性があります。
近年は無承認変更に対する警察の監視の目が強化されているように感じます。日頃から届出が必要な変更と事前申請が必要な変更を意識してお店を管理しておくと、いざという時に慌てなくてすみます。