日本では様々な場所で外国人の方が働いています。
風俗営業においても、例えばフィリピンパブのような外国人のキャストを売りにする飲食店は日本人にも人気があります。
しかし、外国人が風俗営業店で働くには様々な制約があり、違法行為をしてしまうとお店の営業停止や逮捕、強制送還など厳しい罰則が待っています。
また、外国籍の方から風俗営業店の経営を始めたいとのご相談もいただくことがあります。
日本人が許可申請する場合と比較すると制約が多く、必要となる書類が異なるケースがあります。
ただし、正しい知識を持っていれば恐れることはありません。
風営法上の扱い
まず、誤解しやすいポイントですが、風営法上では外国人が許可申請をしてはいけないという規定はありません。入管法上で外国人の就労に関して制限する規定があるため、風俗営業許可申請に関しても外国人の方には様々な制約があることは事実です。
ただし〈風俗営業許可を申請する場合〉と〈従業員や管理者として働く場合〉で風営法の規定が変わってきます。それぞれを見てみましょう。
外国人が申請者になる場合
上述の通り、外国人が風俗営業許可を申請できないという規定はありません。
ただし申請者が日本に滞在して申請する場合は、適切な在留資格を有していなければなりません。
日本には「風俗営業」という在留資格はありませんので、次の5つのいずれかの資格を有している必要があります。
① (特別)永住者
② 定住者
③ 日本人の配偶者等
④ 永住者の配偶者等
⑤ 経営・管理
当たり前の話ですが、日本に滞在していない方であれば在留資格による制限はありません。
しかし、この場合は本人が日本にいないため、身分証明書や犯罪歴の有無の証明などが必要になります。
日本とルールや言語が異なる外国とのやりとりが必要になる可能性もありますので、警察に事前に相談しておいたほうがよいでしょう。
従業者として働く場合
従業者(や管理者)として働く場合も適切な在留資格を有している必要があります。
風俗営業に従事することが認められている資格は次の4つだけです。
① (特別)永住者
② 定住者
③ 日本人の配偶者等
④ 永住者の配偶者等
雇用する外国人のパスポートと在留カードで、資格の有無や在留期間などを必ず確認しましょう。
例外的な規定で入管法には資格外活動という規定がおかれていて、在留目的以外の活動が認められることがあります。
しかし、風俗営業と性風俗特殊営業は例外として認められていません。
逆に言えば、風俗営業ではないスナックやガールズバーでは資格外活動として認められますが、おすすめはしません。なぜなら接待行為の基準が曖昧なため、警察の解釈によっては風俗営業とみなされ、風営法と入管法の両方に抵触してしまう可能性があるからです。
さらに、警察から接待行為を疑われることの多いスナックやガールズバーですから、本人の在留資格の更新に支障をきたす可能性もあります。
また、在留資格には「興行」という資格があります。外国から芸能活動やスポーツ選手として日本に来る外国人のための資格ですが、風俗営業店でダンサーなどを招聘してショーを開催することがあります。興行の資格で日本に来ている場合はダンスを見せることが目的なので、それ以外の客席についたり、カラオケを一緒に歌うなどといった接待行為はできません。
その他、興行資格の外国人を風俗営業店で迎え入れる場合は、控室やステージなどで風営法の基準とは違った設備を求められますので、詳しくはまた別の機会で説明できればと思います。
最後に
外国人の方が日本で風俗営業を開始したり、お店で働こうとする時には結構高いハードルがあります。
だからといって諦める必要はありません。法令を遵守して正しい理解があれば、風俗営業許可を申請したり、お店で従業員として働くことができます。
個人的な思いとしては、お国柄の個性や魅力にあふれるお店が活発に営業している、外国人の方とも楽しめる風俗業界であってほしいと切に願っています。
外国人の雇用や許可申請でお困りであったり、ご相談があれば弊所までお気軽にお問い合わせください。