令和6年4月1日から千葉県でヤードの営業を規制する条例が施行されています。
条例の制定についてはこちら
千葉県はいわゆる「ヤード」の数が全国最多です。
騒音や振動、火災の危険性もあり、以前から規制の強化が望まれていました。
この条例では、都道府県としては全国で初めて許可制が導入されています。
施行されたばかりのヤード条例を要約して解説します。
ヤード条例とは
正式名称は「千葉県特定再生資源屋外保管業の規制に関する条例」といいます。
この条例によってヤードを営業するには知事の許可が必要となり、審査基準が設けられました。
さらに既存業者に対しても1年以内の許可取得を義務付けています。(令和7年3月31日まで)
つまり、既得権で営業ができるのは1年間だけです。
また、千葉市と袖ケ浦市では、先行してヤード条例が施行されています。
こちらは住宅からの距離制限など、県の条例とは異なる規制となっています。
千葉市と袖ケ浦市で営業する場合は、県の条例は適用されず、市の条例が優先されます。
対象となる業者
四方を壁に囲まれ、金属やプラスチックが保管されている施設は俗に「ヤード」と呼ばれます。
条例では、そのような業者を「特定再資源屋外保管業者」として規制の対象としています。
特定再資源屋外保管業者とは?
条例において特定の金属やプラスチックなどを「特定再資源」として定義しています。
ただし、産業廃棄物など、他の法令で規制されるものは除外されます。
特定再資源を屋外において重機などで積み上げて保管する業者を「特定再資源屋外保管業者」として規制の対象としています。
また、特定再資源を保管する事業場を「特定再資源保管事業場」と定義しています。
既存のスクラップヤードのほとんどが該当するのではないかと思います。
許可の基準
特定再資源屋外保管業者は、条例に規定された基準を遵守する必要があります。
この審査基準を満たさなければ許可を受けることができません。
許可申請に係る審査基準
条例では騒音対策や保管物の高さ、火災対策などが定められています。
許可取得までの流れ
許可申請は千葉県知事に対して行います。
実際の担当窓口は下記の通りです。
千葉県環境生活部 ヤード・残土対策課
金属スクラップヤード対策班
千葉市中央区市場町1-1(千葉県庁本庁舎4階)
043-223-3275
ただし、いきなり許可申請をすることはできません。
事前協議を経て、はじめて許可申請が可能となります。
事前協議の流れは下記の通りとなり、審査の節目でその都度書類を提出する必要があります。
事前協議制とは
許可申請に先立って、事業が適正に行えるかということを事前に行政が確認する制度です。
ヤード条例においては、悪臭、汚水、騒音対策などの基準、標識の設置、台帳の保存、現場責任者の配置などが確認されます。
関係機関による協議会が設置され、改善の指導や助言がなされます。
申請者と行政が協力して許可取得というゴールに向かって進めるイメージです。
必要な書類
事前協議を行うには下記の書類を作成して申請する必要があります。
- 指導要綱第1号様式
- 指導要綱第2号様式(関係機関との調整完了後)
- 指導要綱第3号様式(住民への周知完了後)
- 事業計画の概要を記載した書類
- 特定再資源屋外保管事業場の位置図及び付近の見取り図
- 事業場の平面図、立面図、断面図、構造図、設計計算書
- 事業場の土地の登記事項証明書
- 事業場の所有権を有することを疎明する書類(賃貸の場合は使用承諾書等)
- 標準作業書
- その他知事が必要と認める書類
書類作成にあたっては、建築基準法や都市計画法など多岐の法令の項目を確認する必要があります。
例えば、既存のヤードは市街調整区域で営業しているケースが多くあります。
この場合は、建築物の規制などに注意が必要です。
住民への周知
事前協議の審査を経て、調整が終了したら近隣の住民へ周知をする必要があります。
周知範囲は、事業場の境界から300m以内の範囲(特定区域)に居住する住民です。
原則として説明会の実施が必要ですが、特段の事情がある場合は例外規定があります。
- 特定区域内に住民がいない場合
- 住民の総意として説明会以外の周知方法が求めらている場合
- 天災等、不測の事態により説明会の実施が不可能である場合
- 説明会の開催が故意に阻害されることにより、実施できない場合
特段の事情がある場合は、書面のポスティングかインターネットによる周知が認められます。
住民への周知が完了し、報告書(第3号様式)を提出して事前協議が終了します。
ここまできてようやく許可申請が可能となります。
許可申請
事前協議が終了すれはいよいよ許可申請となります。
申請先は、事前協議と同様に千葉県環境生活部 ヤード・残土対策課です。
- 規則第1号様式
- 住民への周知が完了したことを証する書面
- 事業計画の概要を記載した書類
- 事業場の位置図及び付近の見取り図
- 事業場の平面図、立面図、断面図、構造図、設計計算書
- 事業場の土地の登記事項証明書及び公図の写し
- 事業場の所有権を有することを疎明する書類(賃貸の場合は使用承諾書等)
- 条例第9条の規定に該当しない旨の誓約書
- 標準作業書
- 住民票(個人の場合)
- 定款、法人登記事項証明書(法人の場合)
- 役員全員分の住民票(法人の場合)
別途、申請手数料として56,000円が必要となります。
最後に
かなり要約しておりますが、実際の申請は長期スパンとなります。
集める書類の数、関係法令への適合など、許可のハードルは高いといえます。
場合によっては追加で設備投資が必要となることもあります。
これまでの経緯として、騒音や火災など、問題が多かったので致し方無いのかもしれません。
しかし、適正に営業している業者も多くあります。
許可の基準を理解して適切に対処していけば許可を受けることは可能です。
少しでも負担を軽減したい場合は弊所までご相談ください。
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