旅館業許可や民泊新法の届出の際に、消防法令適合通知書という書類の提出が必要なことがあります。
また、風俗営業許可申請においても管轄の警察署や行政機関によっては必要となります。
しかし、消防法令適合通知書と聞いてピンとくる方はあまりいないと思います。
どこに申請してどのように取得すればよいのでしょうか。
そこで今回は消防法令適合通知書の内容から取得方法まで解説します。

消防法令適合通知書とは

消防法令適合通知書は、建物などの所在地を管轄する消防署に交付申請を行います。
申請後、審査や検査を経て消防設備の設置や防火管理体制が消防法令に適合している場合に交付されるものです。
いわば消防署からの法令に適合していますというお墨付きのようなものです。

消防法令適合通知書がなぜ必要か

宿泊施設や店舗は、不特定多数の者が出入りする施設となるので、火災が起きたときに大きな被害が出る可能性があります。
そのため、消防法に定められた設備を適切に設置している必要があります。
例えば国土交通省の民泊ガイドラインでも「届出の際に提出を求める」と規定されています。
ただし、後述の東京都のように消防法令適合通知書以外の方法で確認する自治体もあります。

東京都で民泊事業を行う場合

東京都で民泊新法の届出を行う際は、消防法令適合通知書の代わりに事前相談記録書を添付します。
これは、事前に消防署に相談に行ったことを証するもので、消防署の確認印が必要となります。
また、防火対象物使用開始届出書なども提出しておく必要があります。
届出の時点では消防設備や管理体制が法令に適合していることまでは求められていません。
ただし、営業開始までには検査を受け、検査結果通知書の交付を受ける必要があります。

消防法令適合通知書の交付までの流れ

消防法令適合通知書の交付を受けるための具体的な流れは下記の通りとなります。

事前に確認しておくポイント

消防法令適合通知書の交付申請を行う前に把握しておいた方がよいポイントがあります。
あらかじめ下記の事項を確認しておけば事前相談がスムーズに進みます。

  • 申請する建物の延床面積
    建物の延床面積は登記事項証明書や建築確認証明書で確認ができます。
    営業したい業種によっては建物の用途変更が必要となるケースがあります。
    用途変更をする面積が200㎡を超える場合は建築確認申請が必要となります。
    もし、建築確認申請となると建築士に依頼することとなり、費用と手間が増加します。
  • 防災物品を使用しているか
    カーテンや間仕切り、絨毯やラグなどは、適切な防炎効果があるものを使用しなければなりません。
    建物の用途や構造、収容人数によって変わりますが、設置状況は把握しておきましょう。
    交付申請にあたり、新たに防炎物品の設置が必要となることがあります。

事前相談

まずは、建物の所在地を管轄する消防署に事前相談を行う必要があります。
打ち合わせの際には宿泊室の面積や間口の開口などがわかる図面を持参しましょう。
なぜなら、面積や構造によって必要となる消防設備が異なるからです。
もし、図面等で面積や構造がわからない場合は消防署からの判断が得られないことあります。
事前相談で消防設備に関して指摘があったら、必要な設備を整えます。
大抵の消防署ではこちらに消防法の知識がなくても親切に教えてくれます。

申請書類の提出

法令に適合した消防設備が整ったら、消防法令適合通知書の交付申請を行います。
ただし、必要な添付書類は各都道府県によって異なります。
事前相談の時点でよく確認しておきましょう。
一般的には下記の書類が必要となることが多いでしょう。

  • 消防法令適合通知書交付申請書
  • 付近見取図(案内図)
  • 配置図
  • 平面図(消防用設備や避難経路がわかるもの)
  • 立面図(開口部や窓の大きさがわかるもの)
  • 防火対象物使用開始届出書
  • 消防用設備等設置届出書
  • 防火管理者選任届書(収容人数30人以上)
  • 消防計画作成届出書

収容人数や構造によって追加で書類が必要となることもあります。

書類審査・立入検査

提出された書類をチェックして、問題なければ立入検査となります。
日程を調整して実際に現地で法令に適合しているかの検査が行われます。
検査自体は概ね30分程度で完了します。

消防法令適合通知書の交付

立入検査の結果、問題なければ消防法令適合通知書が交付されます。
検査から交付まで10日前後が目安ですが、設備の準備や他の申請の状況によって変動します。

最後に

自治体にもよりますが、消防法令適合通知書は旅館業許可や民泊新法の届出の際に必須の書類となることがあります。
また、消防法令に合致している建物でないと必要な許認可を受けることもできません。
消防設備は非常に費用がかかるものであり、人命にも直結してきます。
旅館業や風俗営業などは不特定多数が出入りすることになるので優先的に確認しておくべき事項です。
消防法の規定や手続きに関して不安のある方は是非弊所までご相談ください。

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