接待を伴う飲食店とは
キャバクラやラウンジ、ホストクラブなど、特定のお客さんに対してキャストが通常のサービスを超えるような接客(接待)をしてくれるお店です。社交飲食店と呼ばれることもあります。
ガールズバーやコンカフェでも上記の接待行為を伴えば風俗営業許可が必要です。
電車やフェリーなどの移動する室内で営まれるものも接待行為があれば対象となります。
また、旅館などでコンパニオンさんを呼ぶ場合も旅館業許可とは別に風俗営業許可が必要になります。
このような営業を行うには公安委員会から風俗営業1号許可を受ける必要があります。
許可を受けるための3つの要件
風俗営業1号許可を受けるにはまず3つの要件をクリアする必要があります。
風俗営業とは、国民に社交の場と娯楽と憩いの機会を提供する社会的に意義のある産業です。
しかし、一部ですが反社会勢力とのつながりや犯罪の温床とみられがちなこともまた事実です。
そのため、風俗営業を行う者には厳しい要件が課されています。
人的要件
こういう人は許可を受けられませんという要件です。(法人の場合は役員全員が対象)
条文そのままだとわかりにくいので簡素化して列記します。
許可を受けようとしても下記に基準に該当する場合は、許可を受けることはできません。
- 破産者
- 過去に犯罪を犯してしまって刑の執行が終わってから5年が経過していない者
- 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為を行うおそれのある者
- アルコールや薬物常習者
- 心身の故障により風俗営業の業務を適正に実施することができない者
- 風俗営業許可を取り消されて5年を経過していない者
- 未成年(相続の場合は別途規定あり)
外国人で日本に滞在している方が申請する場合、適切な在留資格を有している必要があります。
自分が満たせないからといって他人に許可を取得させると「無許可営業」と「名義貸し」となります。
そうなると風営法で一番重い罰である、2年以下の懲役若しくは200万以下の罰金又はその両方となりますので注意が必要です。
場所的要件
住宅街や学校・病院などの立地条件によって営業可能な地域が制限されます。具体的には都道府県の状況に応じて条例で規制されていますので、ここでは東京都を例に説明します。
場所的要件による制限は用途地域と保全対象施設による2つの制限があります。
用途地域制限
用途地域とは計画的に市街地を形成するために用途に応じて13の地域に分けられたエリアです。
住居系、商業系、工業系に分けることでき、住居系地域では1号営業の許可は受けられません。
- 第一種低層住居専用地域
- 第二種低層住居専用地域
- 第一種中高層住居専用地域
- 第二種中高層住居専用地域
- 第一種住居地域
- 第二種住居地域
- 準住居地域
- 近隣商業地域
- 商業地域
- 準工業地域
- 工業地域
- 用途が指定されていない地域
注意点
用途地域がまたがっている場合は注意が必要です。例えば商業地域と住居系地域にまたがって営業所がある場合は、原則的にその割合にかかわらず許可は受けられません。
また、建築基準法と風営法で矛盾点もあるため、条例で営業可能な地域であっても許可がおりないことがあります。
立地条件に関して判断に迷うことがありましたらご相談ください。
保全対象施設
用途地域をクリアしたら、保全対象施設との距離を確認する必要があります。
小学校の隣にキャバクラなどがあったら青少年の健全な育成に支障がでることは容易に考えられます。
そんなことがないよう、営業所から保全対象施設までの距離制限が条例で定められます。
各都道府県の条例でどんな施設を保全対象施設にするかが定められますが、学校や病院、保育所などの児童福祉施設が指定されることが多いようです。
こちらも東京都の例になります。
特例地域
近隣商業地域及び商業地域のうち、風俗営業店が密集していて風俗営業の規制にあたり支障がないと公安委員会が認める区域のことです。東京を代表するような歓楽街が指定されていて、以下の区域では保全対象施設との距離にかかわらず許可が受けられます。
- 中央区のうち、銀座四丁目から同八丁目までの区域
- 港区のうち、新橋二丁目から同四丁目までの区域
- 新宿区のうち、歌舞伎町一丁目、同二丁目(9番、10番及び19番から46番まで)及び新宿三丁目の区域
- 渋谷区のうち、道玄坂一丁目(1番から18番まで)、同二丁目(1番から10番まで)及び桜丘町(15番及び16番)の区域
構造的要件
風俗営業のお店は、自由に店づくりができるわけではありません。
風営法と国家公安委員会規則で、客室の床面積や店内の明るさなどが細かく規制されています。
その他、消防法や建築基準法の基準にも適合している必要があります。詳しくはこちら
- 客室の床面積は16.5㎡以上(和室の場合は9.5㎡以上、客室が1室の場合はその限りではない)
- 客室内部が外部から見通せない
- 客室内部に見通しを妨げる設備を置かない
- 清浄な風俗環境を害するような広告や設備を設けない
- 客室の出入口に施錠設備を設けない
- 営業所内の照度が5ルクス以下とならないよう維持するために必要な構造または設備を有する
- 各都道府県が制定する条例の基準以上の騒音が外部に漏れない
気を付ける点としては「見通しを妨げる設備」です。
基本的には客室に1mの高さを越える設備は設置できません。
管理者の選任
風俗営業者には営業所ごとに管理者一人を選任する義務があります。
管理者とは、「お店を統括管理する者」とされていますので、一般的には店長や支配人といった役職の方が該当します。
申請者が管理者となることも可能ですが、下記の欠格要件に該当してしまうと管理者にはなれません。
- 未成年者
- 第4条1項第1号から第4号まで又は6号から9号までのいずれかに該当する者
破産者や過去に犯罪を犯してしまって刑の執行が終わってから5年が経過していない者など - 心身の故障により管理者の業務を適正に実施することができない者として国家公安委員会規則で定めるもの
管理者講習
風俗営業の管理者は、国家公安委員会が行う講習を受ける必要があります。
おおむね3年ごとに1回行う必要があり、定期的に受講しなければなりません。
営業開始まで
上記の要件をクリアして申請書類を作成して提出後、営業所での実査と公安委員会の審査を経て許可証が届くまでは営業してはいけません。
東京都の場合は申請書が受理されてから55日間という標準処理期間が定められております。
この55日間には土日は含まれません。
申請状況により早かったり遅かったりしますが、申請から3ヶ月程度と思っていただければ大丈夫です。
風俗営業を必要とする営業は、許可を受けるまで時間も手間もかかります。
また、その営業許可を維持することも大事です。
風営法だけではなく、条例や消防法、建築基準法といった知識も必要となりなす。
弊所では、それら周辺法令の知見と経験があります。
風俗営業許可に関することは開業から営業まで是非ご相談ください。
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