キャバクラなどの接待行為を行うことができる風俗営業1号許可を受けた場合は、深夜(午前0時~6時)の営業はできません。
そして深夜酒類提供飲食店営業の届出を行ったり特定遊興飲食店営業の許可を受けた場合は接待行為を行うことができません。
ならば風俗営業1号許可に重ねて深夜酒類提供飲食店営業の届出を行えば深夜まで営業ができるようになるのではと考えてしまうものです。
果たしてそのような営業を行うことは可能なのでしょうか。
法律上では?
風俗営業と飲食店営業の関係は、接待飲食等営業(1~3号営業)の場合は兼業が前提です。
ただし、深夜酒類提供飲食店営業は風俗営業では禁止される深夜に営業をすることから、兼業をそのまま認めるわけにはいきません。
風営法においては深夜酒類提供飲食店営業の届出をした上で風俗営業許可を重ねて受けることを禁止する規定はありませんので、できるともできないとも言えません。
解釈運用基準では『営業所の構造又は設備の基準、年少者の客としての立入り、遊技場営業者の禁止行為等について、同じ者が同一の営業所において異なる種別に係る許可を受けることは原則としてできない※』とされています。ここでいう「種別」とは風俗営業1号から5号のことを指しているので深夜酒類提供飲食店営業には言及していません。
※大阪府ではアミューズメントカジノの営業について、接待行為を行う場合は1号許可と5号許可を同時に受ける運用があります。(その際の許可基準は、より厳しい方の基準を適用してるようです)
特定遊興飲食店営業の場合
深夜酒類提供飲食店営業と違い特定遊興飲食店営業と風俗営業許可に関しては、同時に受けることが一定の条件のもとで可能と解釈されています。
解釈運用基準によると「風俗営業と特定遊興飲食店営業は異なる許可を規制を受けるものであるが、例えば深夜以外の時間帯に風俗営業を営み、その後営業の継続性を完全に絶った上で深夜に特定遊興飲食店営業を営むことは否定されないことから、同一の営業所について風俗営業の許可と特定遊興飲食店営業の許可を重ねて受けることは可能である。」とあります。
ただ、営業の継続性を完全に絶つとあるので、カジノバーなどの場合はポーカーテーブルなどに蓋をしたり、遊技スペースを閉鎖するなど、遊技ができないようにする措置が必要です。
それでも営業の継続性に関して警察に納得のいく説明をして営業を認めてもらうためには、事前に丁寧な説明が必要となります。
深夜酒類提供飲食店営業の場合
深夜酒類提供飲食店営業の場合は実際に同一の店舗で風俗営業許可を同時に受けれるかというと、結論としては不可能と言わざるを得ません。
特定遊興飲食店のように営業の独立性を完全に絶てばよいといっても遊技設備と違い、接待行為に蓋をするわけにはいきません。0時になったら隣で接客していたキャストがいきなり帰りますのでといったところで警察は納得しないでしょう。0時以降も接待行為を行っているのだろうと考えるのが普通です。
営業の継続性を完全に絶っていると認められない限り、警察としても深夜酒類提供飲食店営業の届出を受理するわけにはいきません。
複数の許可で営業するには
それでも営業形態の切り替えに十分な時間と準備をして明らかに営業形態が変わり、誰が見ても営業の継続性が絶たれている状況をつくることができれば認められる可能性はありますので、チャレンジしたい方がおられましたら弊所までご相談ください。東京近郊は家賃も高いため、二毛作営業が可能となれば売上面や経費削減に非常に効果があります。ただし、複数の法人で運営する場合などは、責任の所在やオーナーの承諾など気を使うポイントがありますのでご注意ください。
まとめ
現在の法律では深夜に接待行為を行う営業は認められていません。
深夜営業をしたければ接待をしない、接待行為を行いたければ風営法の規定を遵守して営業するというスタンスが必要です。
また、風営法の規制が追い付かないような斬新な営業がこれから生まれる可能性もあります。
実際にオンラインゲームやeスポーツの分野ではまだ法整備が整っていないと言わざるを得ません。
新しい流れに関しては常にアンテナを張っておりますのでどうしてもこんな営業がしたいということがあればまずはご相談ください。