性風俗関連特殊営業とは

風俗と聞いて、たいていの方が連想するいわゆる「フーゾク」のことです。
風営法では風俗営業とソープランドやデリヘルなどの性風俗関連特殊営業を明確に分けて規制しています。
性風俗関連特殊営業には店舗型性風俗特殊営業というものもありますが、厳しく規制されています。
弊所では事前に綿密な打ち合わせを行った上で対応させていただいております。

無店舗型性風俗特殊営業

無店舗型性風俗特殊営業は風営法上、2つの類型が想定されています。

この法律において「無店舗型性風俗特殊営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
一 人の住居又は人の宿泊の用に供する施設において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業で、当該役務を行うものを、その客の依頼を受けて派遣することにより営むもの
二 電話その他国家公安委員会規則で定める方法による客の依頼を受けて、専ら、前項第五号の政令で定める物品を販売し、又は貸し付ける営業で、当該物品を配達し、又は配達させることにより営むもの

風俗営業等に関する規制及び業務の適正化等に関する法律 第2条7項

条文だと少々わかりずらいので簡潔に説明すると以下のような営業をいいます。

無店舗型性風俗特殊営業
  1. 派遣型のファッションヘルス・・・ デリヘルなど
  2. 通信販売などで専ら性的な商品を販売したり貸し付ける営業・・・アダルトDVD等の販売サイト

デリヘルにおいて、事務所やキャストの待機所は規制を受けることはありませんが、お客さんの受付所を設けてしまうと、立地規制を受けてしまうため注意が必要です。
専らとは、おおむね7割ないし8割程度以上のことですので、アダルト商品の割合がそれ以下であれば性風俗特殊営業には該当しないことになります。
ただし、所轄によって専らの解釈はまちまちなので自ら判断せずに専門家に相談しましょう。

映像送信型性風俗特殊営業

アダルト映像の配信、販売やファンクラブ運営などを行う場合に必要な届出です。

この法律において「映像送信型性風俗特殊営業」とは、専ら、性的好奇心をそそるため性的な行為を表す場面又は衣服を脱いだ人の姿態の映像を見せる営業で、電気通信設備を用いてその客に当該営業を伝達すること(放送又は有線放送に該当するものを除く。)により営むものをいう。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 第2条8項

「インターネットなどを用いて専らアダルト映像などを見せる営業」のことをいいます。
「映像」とは、静止画像だけではなく、動画やVR、ARなども含まれます。また、ライブチャットのような会話などを伴うものも含むとされています。
原則的にはサイトの運営者が届出をする必要がありますが、FC2などのサイトに投稿する際にも届出が求められるケースがありますので事前にご確認ください。

こちらにも「専ら」という文言が入っていますが、意味は上記と同様におおむね7割ないし8割程度以上をいいます。
HPをいくつかのセクションに分割していて、一部のセクションでアダルト映像を見せている場合は、原則的にはHP全体で「専ら」アダルト映像を見せているかで判断されます。
原則的には日本国内で営まれる営業に限りますが、単にサーバーが海外にあるからといって規制を受けないという判断は危険です。

メンズエステについて

メンズエステに関しては、「通常のマッサージ」を提供して営業する分には性風俗特殊営業の届出は必要ありません。「マッサージ」を行うには国家資格が必要なケースもありますが、「エステ」や「もみほぐし」と称して営業している実態があります。
しかし、そのうような名称で判断するのではなく、「異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供」という規定に該当してしまうと、禁止地域営業や必要な届出を行っていないといった違反に問われてしまいます。
「異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供」しているか否かの判断は、施術の方法やキャストのコスチューム、店舗の広告などを総合的に判断しているようです。
メンズエステを営む場合は上記の基準を考慮して、必要であれば適切な届出を行った上で営業されることを検討していただければと思います。

性風俗特殊営業の届出

性風俗関連特殊営業は風俗営業のように許可ではなく届出という手続きになっています。
警察は性風俗特殊営業を積極的に認めてはいないが、必要な届出をさせて営業者を把握し、管理する必要があるという趣旨です。

届出の要件

無店舗型性風俗特殊営業と映像送信型性風俗特殊営業では場所的要件や人的要件がありません。
風俗営業許可のように近くに学校があるから営業できないとか破産しているから申請できないといったことはありません。
こう聞くと簡単と思われがちですが実際はそういうわけではありません。
賃貸の場合はオーナーからの使用承諾書が必要になりますし、自社物件だとしても近隣からの視線は常に気にする必要があります。やはりこういった営業をしていると雰囲気でなんとなくわかってしまうもので苦情などが入るケースがあります。
また、広告活動の制限などがあるため、実質的にはネットでの集客がメインとなりますので届出までにサイトを開設しておく必要もあります。(申請書にも記載します)

営業開始まで

  1. お問い合わせ

    メールでもお電話でもお気軽にお問合せください。

  2. お打ち合わせ

    どのような営業を行いたいか、事務所の所在や待機所の予定などをお伺いいたします。

  3. お見積り、委任契約

    お客様の状況に合わせたご提案を行います。ご納得いただけましたらご契約を締結します。

  4. 業務着手

    住民票や登記事項証明書等、必要書類を集め届出に必要な書類を作成します。

  5. 警察署に届出

    届出が可能となった段階で報酬をご請求させていただいております。業務着手から届出までは、状況にもよりますが、早ければ3日程度で届出が可能になるケースもあります。

  6. 営業開始

    届出から10日後には届出確認書が交付されて営業が可能となります。
    待機所を設けた場合は担当者の実査があるケースもあります。


手続き自体は簡易なものとなっていますが、物件選定や使用承諾書の取得などのハードルは、風俗営業よりも高くなっています。
所轄によっては事務所の実査を行うなどローカルルールも多岐にわたりますので不安があるようでしたら専門家に相談しましょう。