射幸心をそそる遊技場とは
雀荘やパチンコ店など客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業です。
射幸心とは幸運や偶然により苦労をせず大金などを得ることをいいます。
国民の射幸心を煽ってしまうと勤労によって財産を得ようとする健全な経済的風俗が害されるおそれがあります。勤労は国民の3大義務の一つですので風俗営業4号許可として、射幸心をそそるおそれのある営業を規制しています。
賞品の提供
遊技の結果に応じて賞品を提供できるのは4号営業のパチンコ店だけです。雀荘では認められていません。
ただし、パチンコ店においても現金や有価証券を提供することや、提供した賞品をお店が直接買い取ることはできません。あくまで店とは無関係の第三者が賞品の買い取りを行っています。
「パチンコは賭博じゃないのか」という意見もありますが、実態はさておき日本の法律ではあくまで遊技の範囲内であり、パチンコ店は換金行為とは無関係ということになっています。
遊技料金の規制
4号営業は、風営法19条で遊技料金に関する規定があり、国家公安委員会規則により遊技料金の上限が定められています。
・パチンコ店の場合
パチンコ台 1玉 4円
スロット 1枚 20円
・雀荘の場合
◇客1人あたりの時間を基礎として遊技料金を計算する場合
全自動卓 600円/1時間
その他の卓 500円/1時間
◇麻雀台1台につき時間を基礎として遊技料金を計算する場合
全自動卓 2,400円/1時間
その他の卓 2,000円/1時間
4号営業許可を受けるためには
風俗営業4号許可を受けるためには人的要件、場所的要件、構造的要件に加えパチンコ店の場合は設置する遊技機の基準も満たす必要があります。
また、雀荘で飲食を提供する場合は別途、飲食店営業許可を受ける必要もあります。
人的要件
こんな人や法人の役員は許可を受けれませんという要件です。
- 破産者
- 過去に犯罪を犯してしまって刑の執行が終わってから5年が経過していない者
- 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為を行うおそれのある者
- アルコールや薬物常習者
- 心身の故障により風俗営業の業務を適正に実施することができない者
- 風俗営業許可を取り消されて5年を経過していない者
- 未成年(相続の場合は別途規定あり)
場所的要件
パチンコ店や雀荘などの4号営業も、他の風俗営業許可と同様に営業できる地域が制限されています。
具体的な立地制限は、各都道府県の条例に委任されているので東京都を例にします。
用途地域制限
都市計画法で定める以下の用途地域では4号営業許可を受けることはできません。
- 第一種低層住居専用地域
- 第二種低層住居専用地域
- 第一種中高層住居専用地域
- 第二種中高層住居専用地域
- 第一種住居地域
- 第二種住居地域 ※
- 準住居地域 ※
- 田園住居地域
※商業地域、近隣商業地域と隣接していて当該地域から20m以下の地域は除く
保全対象施設
東京都では以下の施設が条例で保全対象施設として定められており、距離制限が設けられています。
構造的要件
- 客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと
- いかがわしい広告や設備を設けない
- 客室の出入口に施錠の設備を設けない
- 営業所内の照度が10ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造または設備を有する
- 各都道府県が制定する条例の基準以上の騒音が外部に漏れない
- パチンコ店の場合は当該営業の共にする遊技機(パチンコ機やスロット)以外の遊技設備を設けない
- パチンコ店の場合は営業所内の見やすい場所に賞品を提供する設備を設ける
パチンコ店の場合、コロナ禍や店内広告の多様化により「見通しを妨げる設備」に関しては弾力的な運用となっていて下記のような通達がされています。
通常は1mを越える設備は認められませんが、通達により以下の設備が「見通しを妨げる設備」として扱わないとされています。
・常時1.7m以上の高さに位置する設備
例:天井から吊り下げられる看板など
・壁に付設される設備
例:自動販売機やイーゼルなど
・常態的に移動する設備
例:コーヒーレディのワゴンなど
・島端に接着して平行に設置される設備
例:島端に設置される看板など
・無色透明の仕切り板
例:パーテーション、分煙ボードなど
・賞品を陳列するための設備
例:商品を陳列する1.5m以下の棚など
・島設備
雀荘における個室
4号営業には、客室面積に関する規制がないため、個室を設けることは可能です。
しかし、密室で遊技が行われると賭博行為が行われる可能性が上がることから、許可を受けるにあたり、条件が付されることがあります。
例えば個室のドアを開放したり、ドアに窓を設置する等、外部から見通せるような設備にするといった条件が付されることがあります。
パチンコ店に設置する遊技機の基準
パチンコ店に設置される遊技機は公安委員会規則の「著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機の基準」に適合する遊技機である必要があります。
この基準には1分間に発射できる玉数や賞玉数などが細かく決められており、指定試験機関である一般財団法人保安通信協会(保通協)やGLIjapanが型式試験を行います。この試験に適合したものが都道府県公安委員会の検定を受けることによってパチンコ店に設置することが可能になります。
営業開始まで
4号営業許可は申請書が受理されてから許可がおりるまでは55日間の標準処理期間が定められています。
パチンコ店の場合は確認事項が多く、事前に所轄の警察にお伺いをたてたほうスムーズに手続きが進みます。取り揃えておく賞品も最低でも500種類以上、5品目以上必要になります。
他の営業と比較しても設備投資が大きく準備しておく項目も多いので時間に余裕をもって慎重に申請準備を進めましょう。